ジミコはお金を要求する

 ソウタと坂道を登っていくと学校があった。ブレザーの制服の赤いリボンが揺れる。なかなか似合ってるのではないか?と自分で思う。


 横でチラチラと何度もあたしの様子を伺うソウタ。教室に入る。


「ジミコちゃーん!おはよ!」


 誰?あたしが席に着いた途端、いきなり挨拶してきた相手をジロリと見た。3人の女子が机の前に立つ。ミコの記憶には名前があるが、思い出すのもめんどくさい。


「課題してきてるよね?」


「いつも通り、見せてもらうわよ」


 勝手にカバンからノートを持ち出していく。ガタッとあたしは立ち上がって、スタスタとその女子たちの前に行った。


「お、おーい、ミコ!?」


 ソウタが心配そうにこちらを見ているが、余計なお世話だ。あたしは手のひらを広げて相手にズイッと出す。


「な、なによ?」


「一人1ページにつき、五百円もらうわ。タダで見せると思ってんの?世の中なめてんの?」


『ええええ!?』


 ざわりと教室に衝撃が走る。なぜ驚く?変なこと言ってないわよね。


 ノートを返してくる。クスッとあたしは口元にノートを持っていって笑う。


「意外とケチね。お金払えば見せてあげるっていってるのにねー」


『なっ!?なんですって!?』


 うるさいカラスみたいにぎゃあぎゃあ言っているが、無視した。


「おいおい……ミコ、おまえ、どーしちゃったんだよ!?今、金を巻き上げようとしてなかったか!?」


 下僕のソウタまでうるさい。


「下僕に喋る許可を与えていないわ。黙っていなさい」


 それどころではない!時間がもったいない!


 あたしはすべての教科書を開いて、パラパラと読んでいく。知識を高速で詰め込み出す。誰かに負けるとかあたしの辞書にないわよ!

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