呪いを受けた!?

「あたしを誰だと思ってるの?オーホホホッ!負けるなんて言葉はあたしの辞書にないわよっ!」


 あたしは腰に手をやり、笑い飛ばしてやる。


「調子にのっていられるのも、今だけだ!古代魔法の呪いをかけてやる!」


 こいつは何を言ってんの?フンッと鼻で笑い飛ばす。あたしは最年少で魔道士のトップに立ち『マギ』の称号を得た。それが面白くないやつらが山といる。


 特に『マギ』の次席だったディランは私に恥をかかされた!とか言っていて、こうやって家まで押しかけてくる迷惑なやつ。


 次席っていっても、点数的にも才能も、あたしからは、月の距離ほど、とおーーーーーい。ちっとも惜しくないくせに実力が同等だと思ってる。


「くっだらない!できるもんならしてみなさいよ!そのまえに吹っ飛ばしてあげてよ!オーホホホッ!」 


 今回もいつも通り、ディランに無力感を味わわせてやって、終わり!……の予定だった。


 ディランはボロボロの黒い魔道服の隙間から一枚の鏡を取り出した。ちなみにディランのボロボロの服はあたしに何度も挑んではやられた名残である。


「エマ!エマ=トーレスの魂を此処に封じる!」

  

 あたしはディランの持つ魔導具の種類を一瞬で分析した。あれは、古代文明の魔導具のかも!?かなりレア魔導具じゃない!


「あんたが、なんでそんなもの持ってるのよーっ!?」


「おまえを憎む者は一人だけではないということだ!エマ=トレースの魂を手に入れられたら、これほど愉快なことはない!」


 文字が体に巻き付く。あたしはチッと舌打ちして、呪いを返す術を素早く紡ぐ。間に合わないか!?


 そうあたしの術は半分、効果を得た。ディランはあたしの魂を手に入れられなかった。


 そのかわり……あたしは知らない場所へ飛ばされていた。


「なに?この世界は……?」


 そう呟いた。目の前にホカホカと湯気が出ている黄色い玉子がのった美味しそうな食べ物があったのだった。

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