異世界の最凶天才魔道士と地味な私が入れ替わる呪いをかけられた!

カエデネコ

地味子は地味に生きてます

 地味で目立たず、周りと同化し、空気のようになろうと努力してきた。めんどくさいことに関わりたくない。


 私は学校では『地味子ジミコ』と呼ばれて生きているが、私の作戦が成功していると思う。


 帰ってきて、制服からゆったりとした部屋着に着替える。今日も誰にも注目されずに生きれたわとホッとする。


 冷蔵庫に入っている作り置きのオムライスを電子レンジで温める。


 両親が帰ってくるのは毎日、夜遅く。リビングのソファーもテーブルも独り占めして、パソコンを開いた。多少、行儀悪くったって、大丈夫。怒る人なんていない。


 一日の中で一番の幸せタイム。ネットの小説を読む。今日は更新されてるかな?


『勇者様は魔王退治よりスローライフを始めたい』を楽しみにしていた。


 勇者様はイケイケではなくて、魔王退治より、『静かに目立たず地味に生きたい』人で、周りから早く魔王退治へ行け!と言われているが、行かない。


 そこへヒロインの幼馴染の少女がゴブリンに襲われてしまい怪我をしてしまう。勇者のせいだ!と言われてしまい、魔王退治を決意しろ!と迫られている。


 なんでよ!?と私はなんとなく、勇者様の生き方に共感してしまう。『静かに目立たず地味に生きたい』のは悪いことじゃないわ!それに自分がしたくもないことを周りから押し付けられるなんて嫌なことよね。私はヒーローになれない勇者様に共感してしまっている。


 パソコンを開きながら、そう思った瞬間、雷が、落ちたような閃光が起こった。


 雷!?私はびっくりして立ち上がった。その瞬間、目の前の景色は変わった。


 それは日常が非日常になり、私の人生も変わった瞬間だった。

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