聖女様は俺と帰りたい

俺は重たいまぶたを頑張って開けながら授業を聞いていた。


「ここはよくわからない人が多いからちょっと解説していくぞー」


今の授業の先生はしっかりと解説してくれてわかりやすいがずっと聞いていると眠くなったり飽きたりしてぼけーっとなってしまう。


今日も聖女様はいつもどおりだった。


「・・・じー」


小さく宝石のように輝いている日本人特有の黒い目が俺の様子を探るようにチラチラとこっちを向いている。


彼女は器用にノートを書きながら黒板ではなく俺の方向を見てくる。まるで俺をノートに書いてるように。


(こんな感じだが天才なんだよな・・・)


忘れることが多いが彼女は成績トップの淑女だ。学校中ではその様子から天使や聖女と呼ばれているが天使派は少数で殆どの生徒は彼女のことを聖女と呼んでいる。

ちなみに俺は聖女派だ。


「では問題を出すので・・・それじゃあ・・・澤本!前に出て答えろー」


当てられてしまった。当てられるとすごいテンパるよね、ちなみに今の俺の状況だ。


「・・・えっと」


「・・・ん」


上宮さんがノートをこっちに見せてきて答えを見してくれた。ありがとう、上宮さん。助かった・・・


「正解だ!戻っていいぞ」


「・・・ありがとう、上宮さん」


「ん」


彼女はちょっと嬉しそうだった。


ーーーーー


無事に授業は終わり放課後。俺はどこにも行く予定はないのですぐ帰宅する。

・・・友達がいないわけではない、今日は早く帰ろうと思っていただけだ、ホントだからな?


荷物をリュックの中に詰めて宿題がちゃんと入っているかファイルを確認して俺は教室の後ろの扉を開け教室を出る。


俺の教室は1階にあるため昇降口が近くだから早く帰れる。そうだ、今日は図書室で課題をやってから帰ろう。家に帰ってもやる気がでないからな。


図書室では司書の人がいて、本を読んでゆっくりしている。


図書室にいる人は少なく俺を含めて3人しかいないかもしれない。そのためとても静かで勉強がはかどりそうだ。


俺は宿題のプリントをリュックから出して広げて名前を書く。たまには図書室で勉強するのもいいかもと思った。


「・・・ん?」


誰かに見られている気がした。まさか上宮さんがいるのでは!?

俺は周りを見渡したが誰も俺には興味がないのか勉強や本を読んでいた。俺はもう気にしないことにした。ここで気にしても仕方ない、もしかしたらたまたま見たのを俺が感知したのかもしれないから。


よし、再開して・・・


1時間後今日の分の宿題を終えて帰りの帰宅をしていると、後ろに誰かがいた。


「うおぉ!?」


「・・・図書室では静かに」


「すみません・・・」


上宮さんに怒られた。俺は周りの人に頭を下げながら図書室をでていった。


「それでなんで後ろにいたの?」


「・・・たまたま見かけただけ」


予想通り上宮さんはいた。


「そっか、それじゃ」


俺は下駄箱で靴を取り履いて帰ろうとすると上宮さんが追いかけてきた。


「・・・なんで先に行っちゃうの?」


「ただ帰るだけだけど?なんで?」


「・・・私待ってたのに・・・」


俺を?なにか俺に相談とかでも有ったのか?でも俺相談とかちょっと苦手なんだよな・・・


「・・・一緒に帰りたくて」


「そっか・・・」


・・・これが聖女と呼ばれている子か。破壊力がすごいでかい。俺でなかったら致死量だったぜ(瀕死)


「でも、友達は?」


「・・・今日部活」


「そうなんだ」


・・・気まずい、何を話せばいいのか?ここはテンションを高くして恋バナとか?それともただ単に世間話?ここは安全策に世間話をしよう。


「上宮さんは部活に入らないの?」


「・・・うん、めんどくさいから」


「そうなんだ」


「澤本くんは・・・?」


「俺?俺はちょっと勉強に集中したいから入らない」


「偉いね」


他愛のない話をするだけでも案外楽しいのだ。


あ と が き

作者です。私は最近図書室を初めて利用したので今回は主人公が図書室を使う場面を出してみました。作者も今度図書室で勉強しようと計画しています。(実行するかは気分次第) よかったら応援や☆よろしくおねがいします。

作者

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