三年後の自分へ

福倉 真世

自己紹介と前書きのようなもの

 まずは初めて、私の文章を読んでくださる方へ。

 はじめまして。福倉真世と申します。

 以前は、福井真世と名乗っておりましたので、もしかしたら、そちらの名前でピンときます、という方もおられるかもしれませんが……。


 そして、私の文章を読んだことがある、いつも読んでいるよ、という方へ。

 本当に、ありがとうございます。大変、お世話になっております。

 願わくば、これかからも末永くよろしくお願いします。


 この連載を始める前に私の身の上について、かいつまんで書いておこうと思います。


 私は、二十代前半に統合失調症という病気に罹患しました。

 統合失調症という病気がどういう病気なのか、というのは語ると長くなりますが、

 たとえば、ありえない妄想にとりつかれる人もいる……というか、かつての私がそうでした。(家に監視カメラがつけられて、ずっと見張られている、自分のことがTVで放送されているなど思い込む)

 幻覚に悩まされる人もいます。(私も白い壁が一瞬、抹茶色に見えたことなどがあります。ひどいときは、空中に円グラフや棒グラフが現れたりするなど)

 あとは、引きこもったり、逆に金銭的に過活動になって、お金を沢山つかってしまう人もいます。(これも私、やりました。二回目の再発の時に、三、四か月で二百万円以上つかいました。公務員になってから、こつこつ貯めた貯金を全て吹っ飛ばしました)


 統合失調症は、躁鬱病に似たところもあると思います。

 陽性症状、と呼ばれる躁状態にあるときは普段の自分では考えられないような突飛な行動をしてしまったり。

 陰性症状、と呼ばれるいわゆる鬱モードに悩まされているときは正に生きる屍で、ほとんど寝たきりになってしまったりします。


 そんな私ですが、統合失調に罹る前は(元々、あまり体力がある方ではありませんでしたが、それでも)病院にお世話になるのは、風邪やインフルエンザ、突発的な自鼻炎のときぐらい。あとは歯医者に通う程度でした。

 だから、統合失調症を発症するまでは、精神的には弱い、というより強い、と周囲からは思われていたのではないかな……と思います。自分でも、そう思い込んでいました。

 小学校の時のいじめに耐えきり(不登校にはならなかった)

 学校の授業と、通信教育だけで高校受験も大学受験(国立大)も突破し……。


 だけれども。その自分は精神的に強いという思い込みこそが、落とし穴だったのかもしれません。


 カクヨムを始めたのは、2016年。「精神科閉鎖病棟任意入院日記」という作品を

 書いたのがきっかけでした。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882101528


 私はそれまで二度の医療保護入院(本人の同意ではなく保護者……ようするに家族の同意を経ての入院。私にとっては強制入院のようなものでした)を経て、初めて、任意入院をしたわけなのですが、それまでの医療保護入院と比べると任意入院は待遇が段違いに良かったので

『任意入院をした体験について記録を残して、入院を迷っている人や、その家族の一助にしなければ』と思い、日々をつづったものを世に出したのでした。


 任意入院をする前に体験した、二回の医療保護入院の体験については、まだ、詳細を語れる段階にありません。


 原稿用紙五十枚ぐらいまでは、その壮絶(任意入院日記の内容ですら、壮絶、と表現した方が読者様におられましたが、そんなのは生ぬるいくらいの辛い日々でした)体験を文字に起こしました。それは、私のパソコンの文書フォルダに大事に保存してあります。いつか、三百枚まで書いて、完成させて、カクヨムではなく、Kindleで世に出せたら、と思いますが、書いていると、記憶がフラッシュバックして辛くなってしまうので、今の段階ではなかなか難しそうです。


 でも、その日々を二、三行で表すならば。


 ナースコールは押せない場所に備え付けられていて絵にかいた餅のようなもの、ベッドに縛り付けられ、水も自分の意思では飲めない、トイレに行く権利も与えられれず、点滴をされ、導尿カテーテルをされ、オムツを履かされて放置される日々が二週間以上続いた。


 と、でも記しましょうか。これだけで、医療保護入院のひどさ、しんどさの一端は伝わるのではないでしょうか。


 大学時代に最初の医療保護入院を経験して退院したあと、私は病気に負けるわけにはいかないと、がむしゃらにアルバイトをしながら、試験勉強をし、公務員試験を突破して、就職しました。

(公務員といっても職種は幅広いですが、身バレを防ぐため、詳細は伏せます)

 大学も、卒業は遅れたものの、余剰に単位をとって卒業しました。中退は、しませんでした。


 あの頃の自分は、今思えば、燃えるような憎しみを糧にしていました。


 統合失調症という病気そのものが憎かった。

 精神科の閉鎖病棟に病院に入院させた家族が憎かった。

 私をそんな状況に追い込んだ諸々も。


 この文章を書いている、今の自分もかつての憎しみに燃えていたダーク・モードの自分にものすごく近いものがあるかもしれません。


 一時期は、プラスのエネルギーだけを糧に文章を書いていきたいと思っていたけれど。

 でも、やはりマイナスのエネルギーも燃料にしなければ、書き続けることは難しい。


 要はバランスなのだと思います。


 そして、この文章群のタイトルを何故、「三年後の自分へ」にしたのかというと、これにも理由がありまして。


 今の自分が、成長するには、状況を好転させるにはどれぐらい準備期間がいるのか、と考えてみて。


 一年では、足りないし、駆け足過ぎる、という、実感があったのです。

(これまでの二十年近くにわたる闘病生活を経て、経験上、焦って行動すると、再発したり再入院するなど、碌な目に合わない、ということを学びました)


 かといって、漠然と未来の自分へ、だと、ちょっとフワフワし過ぎていて、現実味がなさすぎる。


 期待もこめて、三年後の自分がどうなっていたら嬉しいか、ということを考えつつ、目標も立てていけたらいいな、と思います。


 というわけで、この文章は末文を「三年後の自分へ」の手紙で締めくくりたいと思います。


 ---------------


「三年後の自分へ」


 やあ。自分。

 懲りずに新しく、連載を始めたよ。


 一週間に一回、土曜日の20:00更新を予定しているよ。

 最近はまったなろう小説の作者さんがずっと、そのペースで連載しているからね。

 一年間は約52週間。もし、三年間、この連載が続いたら、約、156話かけているはずだね。


 156話。……意外と、少ないな、なんて思ってしまったのは、私がフォローしているカクヨムの筆者さんたちが、それこそ、500や1000を超える話数を書いているからだろうね。


 驚きだし、素直に尊敬してしまう。


 今のところの目標を書き出してもいいかい? タイムマシンは現在開発されてはいないから、未来の自分の了解は取れないのだけれどね。それでも、なんとなく、確認したくなってしまう。


 三年後の自分がこの文章を読んで、へこんでいないといいんだけどな。


 一年目の目標。

「良い習慣を身に着ける」

 人間というのは不思議なもので、

「歯磨き」「運動」「入浴」「掃除」「家事全般」「粗食」「早起き」など

 習慣になっていると苦も無く出来るし、むしろやらないと気持ち悪いし落ち着かないけれど、

 習慣になっていないとものすごくしんどい……

 ということが多い。

 一定量の文章を書く習慣、というのもここに当てはまる気がする。

(まあ、メンタルな疾患を持っていると、病状が悪い時は「歯磨き」すら、難しくなってくるんだけれど。これは症状の一つだし、増薬や入院などを考える貴重なサインでもあるわけで)


 私の場合、去年は自分の意思で悪い習慣を作ってしまって(過睡眠)それが更に体調や精神面を更に悪化させる、というあまり良くない循環を作りあげてしまった前科がある。


 なので、今年は一年かけて、行きつ戻りつでも、良い習慣を身に着けていくことに力を注ぎたいな、と思っている。


 ・朝起きて、夜寝る(過睡眠から抜け出す)

 ・一日一時間は文章を書く

 ・軽い運動の習慣をつける


 この三つが出来ていれば、万々歳である。


 二年目の目標。

「やりたいことを、やれるようになる」

「力加減を0か100ではなく、30-60の間に調整する」


 一年目の目標を達成した二年目の自分には、ご褒美を沢山あげたい。

 やりたい勉強を(資格取得とか語学習得とか)やらせてあげたい

 とりくみたい仕事(イラストや文章のKindle化、聴き屋など)に挑戦したりね。


 でも、もちろん、やり過ぎはよくないから……


 身体が重たい時は少しだけ頑張ってみる。

 身体がどんどん動いてしまうときは少しストップをかける。


 Twitterで見かけた精神科医のアドバイスで、これは本当に、その通りだなと思う。


 三年目の目標。

「自分の人生を生きられるようになる」


 これは、書くまでもなく、一年目と二年目の自分がもし、着実に願いをかなえていけば、実現することだと思う。


 できれば、経済力も少し身に着けていてほしいけれども贅沢は言わない。

 死んでいるように生きていない、という状況になっていれば、それだけでいい。


 ……さて、3年後の自分はこの文章を読んで、何を思うのかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る