第14話 登録

 異界へ渡るためのゲートを囲むように建てられた頑丈なハンター協会支部のビル。その受付にレンヤ、サユリ、タクミ、ヒナコは防護服を、アイナは古いパワードスーツを、風香は標準クラスのパワードスーツを、それぞれ着込み、レンヤとアイナと風香がが大きなボストンバックを2つずつ、サユリとタクミとヒナコはコンパクトなボストンバックを1つずつ肩にかけて持っている。


「お疲れ様です」


「あら、お疲れ様です。お三方は、お久しぶりですね。風香さんもご一緒とは、どうかしましたか?」


 レンヤの挨拶に早見が頭にハテナを浮かべながら答える。

 普段はレンヤとアイナの2人だけだったのが、久しぶりのサユリら3人と初めて一緒の風香も加えた6人に増え、さらに午前中に2人は討伐をやったばかりだったということもあるのだ。早見の疑問は当然だった。


「お疲れ様です、早見さん。なにかあったわけではなくてですね、風香さんが俺たちのパーティーに所属することになったんで、互いの実力の確認のために簡単な依頼でも受けようかと」


「ようやく1人から卒業できました」


「そうだったんですね、おめでとうございます! 風香さんが、どこにも所属していないことが少し問題になっていたので、安心しました」


「ありがとうございます」


 ハンター協会はハンターの死亡率を少しでも下げるために、強制はできないがハンターが複数人で活動するように手配しており、そのため風香がパーティーにも所属していなかったことが少しだけ問題になっていた。

 風香もそれは理解していたため、レンヤたちに相談したのである。


「では、風香さんのパーティー登録をやっておきますね」


「お願いします」


 言いながらパソコンを動かす早見に、風香がお礼をする。

 早見は風香のパーティー登録を1分かからず、すぐに済ませる。


「はい、オッケーです。では依頼内容をお願いします。実力の確認という頃でしたので、弱めのモンスターの討伐依頼がいいですよね?」


「ん。……あと数がそこそこ多い方がいい、です」


 実力試しではなくて確認なのでモンスターが強い必要がなく、またサポーターの3人がいるためある程度の安全性があるので、この際に風香も加えたときの立ち回りなども確認することにしたため、弱めで数がそこそこいる討伐依頼を、レンヤ達は早見に探して貰う。

 早見がパソコンを操作して条件に近い依頼を探し出して、手元のタブレットに表示しレンヤ達の前に差し出し、6人はそれに決める。


「車両のレンタルはどうしますか? 以前の中型車にしますか? レンヤさんらが借りているのに似ている車両の大型車がありますよ?」


「タクミがいるし大型車でお願いします。大丈夫だよな?」


「大丈夫だよ。お世話になっている工場の手伝いで大型トラックの運転とかたまにしてるからね」


「タクミさんなら安心ですね。他にはありますから?」


 レンヤがサユリら他5人の顔を見て、5人は首を横に振り、レンヤが早見に大丈夫ですと伝える。


「わかりました。……ではいつも通り、依頼場所などのの詳細は情報端末に送っておきますのでゲートを潜る前に確認してください。お車の受け取りはではいつものところより奥なので間違えないでくださいね! ではお気をつけて行ってきてください!」


 各々が「行ってきます」や「ありがとうございます」と挨拶やらお礼やらを言って、それぞれ持っていたバックを持ち直してロビーから奥のゲート近くにあるレンタル車を受け取りに向かう。


「そういえば、風香さんも早見さんがアドバイザーだったんだね」


「はい。伯父さんから紹介してもらいました」


「あら、ならレンヤ達と一緒ね。2人も藤堂さんから紹介してもらったものね。………ん? なら2人が助けられたときすぐに風香だってわかりそうだけど?」


「そういえば」


「ん。……わからん」


「おそらく、私が早見さんに二人の手助けをしたことを伝えてなかったからだと」


「それと兄さんとアイナがちゃんとどんな人だったか伝えてなかったからだと思いますよ」


「そうか? ちゃんと伝えたと思うが」


「ん。……アサルトライフルを持ったエルフみたいな人って、しっかり伝えた」


「……それじゃ分からいよ」


 借りた車を受け取りに話しながら歩いて向かい、車を受け取ってからは真面目に銃座に武器をセットし、情報端末を取り付け、動作や残弾数などの装備を確認する。

 モンスターがいる場所や特徴などの情報は、早見の言った通りで情報端末に送られていて、これは新たにパーティー登録された風香のものにも送られている。

 安全面や装備の確認を済ませ、準備を終えた6人はゲートに向かうのだった。

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