第5話 エルフの人
広々とした家の中の2階にある一部屋。
外部の光から遮断され、映画やカラオケが楽しむための防音室で、引っ越しの片付けやらを終えたレンヤ、アイナ、サユリの三人はホラーゲームをしていた。
防音室の電気はあえて点けずに、ロウソクを灯した小さい火のひかりのみにして雰囲気満点である。安全対策として湿気対策用で備わっている換気扇をちゃんと回している。
ゲーム画面を部屋の巨大スクリーンに映し、音を大きめに設定しているため、一段と臨場感と恐怖感を刺激させる。
三人でコントローラーを交替しながら操作する中で、情けなくもレンヤが一番ビビっていた。その次はアイナで、サユリは意外と思われるが、全然平気でビビっている二人をニコニコして見ながら操作している。
レンヤは怖がっているのがまるわかりで、アイナは顔には出さないが、表情の変化が乏しいだけで、相応に怖がっている。サユリはそんな二人を面白がっていた。
空中にコントローラーが舞って、画面が回転する現象を何度か起こしながストーリーを進ませること2時間ちょっと。
サユリが作った家のセキュリティー関連と連動するスマホアプリからタクミとヒナコが帰ってきたことを知らされ、3人は2人を迎えに、ゲームやめて防音室から出ていく。
「沢山買ってきたよ」
「八人分でいいのよね?」
「はい。ありがとうございます」
帰ってきた二人を出迎えて、食材が入ったエコバックを受け取ってキッチンに向かう。
「ん? 七人じゃ?」
「あ、言っていませんでしたね。北原さんと藤堂さんの二人以外にもう一人、藤堂さん繋がりで来てくれることになりました」
「……し、知らない人か?」
「…………誰?」
親しい人だけだと思っていたレンヤとアイナにとって、新たに未知の人が来るということは、人見知りの二人にとっては重要なことである。
「異界で兄さんとアイナを手助けしてくれた、私達より少し年上の女性ですよ。アサルトライフルと独特な大剣を主装備にしているみたいですね。……すぐに去ってしまったため誰だか分からずじまいとのことでしたが、藤堂さんに引っ越し祝いのついでにお聞きしたところ、なんの偶然か藤堂さんの姪御さんだったとわかりましたので。それでしたらと、お礼も兼ねて招待させていただいた、というわけです」
確かに2、3週間前のハンター活動中、討伐目標の人形、古代遺跡から出てきたような成人男性程のロボットのようなモンスター、その数が情報よりも遥かに多く苦戦していたところを助けてくれた綺麗な女性を二人は思い出す。
命の危機ではなかったが結構苦戦していたところだったため、二人はとても感謝していた。
「…………す、すごい偶然だな」
「…………エルフの人?」
女性は、戦闘後に二人がお礼を言ってからすぐに去ってしまった。
当然二人は名前すら分からないので、レンヤがファンタジーのエルフみたいと言うことから、サユリとの間でエルフの人として共有していた。
「はい。助けてくださった方ですのでちゃんとお礼を言ってくださいね?」
「……だ、大丈夫だ。いくら俺でも、そ、それぐらいできるぞ」
「…………ミートゥー」
レンヤとアイナは人見知りでコミュニケーションが苦手だ。
レンヤは他者との関わりを怖がることから人嫌いをはっきし、アイナは他人に興味がなくどうすればいいか分からなくなって緊張してしまう、といった感じで微妙に違うコミュ障である。
店員とか決まったことのみでやり取りならなんとかなるので、あまり困ることがなく、ずっと改善することから逃げていたため、今では特に同年代への人見知りは酷くなってしまっていた。
「まぁ、大丈夫ですよ。藤堂さんの姪っ子ですし、悪い人ではないのは確かですので、安心してください。……おそらく、二人共と気が合うと思いますよ」
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