第18話 無口系イケメンキタ━(゚∀゚)━!
わいわいがやがや、三條と四善と話し、五月さんと合流して、四善と別れ、教室に入る。最近の日課だ。
五月さんと私はいじめの対象なので、三條が牽制してくれているらしい。少しはありがたがってやろう。
まあ、五月さん(物理)がいるから問題ないが。
そうやって昼間を過ごして昼休み。今日は三條が遅かったため、私のような無精者は弁当なぞ用意していない。
だが、こういうときのために高校には購買が存在し、こういうときのために、私は日夜稼いでいるのだ。
それにこの学校の購買はなかなかイケてるとの叔母からの言伝て。持つべきものはOGだね。
「というわけで行ってくる」
「行ってらっしゃいです」
ですとか五月さん可愛い。
「待ってよ魁さん、僕の弁当分けるふごっ」
おにぎり突っ込んでやった。せっかく作ってやったんだから素直に食っとけ。
と、教室を逃げるように出たところで。
どんっ。
「あ、すみません」
と、ぶつかった先は。
「ん」
無愛想系イケメンだった。
無愛想くんは嫌な顔一つしなかった。
無表情だったとも言う。
「あんたもこれから購買?」
話しかけられた。
そういえば、三條以外の男子と話すの初めてかも。
「うん」
どうやら同じクラスのようだが……
「じゃあ行くか」
何故自然体で一緒に行く流れになっているんだろう。まあ、行くけど。
別に一緒に来いと強制されたわけじゃない。そう考えると、三條より取っつきやすいかもしれない。
しかし、背が高いしがたいがいいな。肩幅広っ。
三條は華奢だから、こんながっちりした男子見たの初めてかもしれない。いや、クラスメイトだから視界には入っているんだろうが……
と、購買に着いた。激混みである。
すると、無愛想くんが私の腕を引っ張った。
なんだと思ったが、私を導いてくれているらしい。ありがたいことに人気と名高いジャムマーガリンのコッペパンと焼きそばパンを買わせてくれた。
こいつ、できるぞ。
なんだかんだで、無愛想くんも私と同じチョイスだ。わかっているじゃないか。一年生ながらに購買慣れしているな。もしくははOBかOGでもいるのか。
「ありがとな」
「ん」
語らずともわかる。同じパンを手にしている。それだけで趣味は合いそうだ。
教室に戻りながら無愛想くんを見上げる。
「私、魁華子。あなたは?」
「……
「六谷ね。ありがと」
少しはにかんでみせると、六谷も微笑んだ。うん、三條は微笑み一つでうっひょうとか言うからうざいんだけど、六谷はいいな。こう、紳士な感じだ。
教室に着くと、真っ先に四善が気づいた。
「あ、ろっくん」
ろっくん?
ぎくり、と六谷が固まるのを感じた。
「なっちゃんと一緒だったんだねぇ。あ、なっちゃん、六谷薙くん。私の知り合いの子ー」
ろっくんって。
六谷のかっこよさが消失。
どうやら六谷は中学は違ったが、四善と同様、いいとこの家の出らしく、四善とは幼なじみなのだとか。
「こないだ資料見せた会社の手入れもろっくんのお父さんがやってくれたんだよ」
「へぇ」
六谷家に感謝せねば。南無南無。
「随分仲良しだねぇ、二人しておんなじの買ってきちゃって」
タコさんウインナーをかじりながら四善が指摘する。
瞬間、ぎちぎちと気味の悪い音がした。新手の幽霊かとも思ったが。
「三條さん、そんな歯軋りしながら食べたらせっかくのお弁当が散らばっ……あ、わたくしなどが指摘するようなことではございませんでしたね」
五月さん、あなたが正しいよ。
私からは拳骨を送っといた。
咀嚼し終えても歯軋りする三條。気持ち悪いし、気味悪い。
「とりあえず、六谷睨むのやめろ」
「……むう」
苛立っているようだが、歯軋り怖いからやめろ。
私がはむはむ焼きそばパンを食べているうちに、四善が六谷と話していた。
「ろっくん見ないうちにおっきくなったねぇ」
「母親かよ」
「似たようなもんでしょ」
「どうだか」
仲いいな。ちなみに三條の歯軋りは止んでいるので会話は聞き取りやすい。
と思っていたが。
「魁さんがはむはむしてる超絶可愛い魁さんがはむはむした焼きそばパンをはむはむしたい」
「気持ち悪いぞ」
「わたくしのことでしょうか!」
「五月さんじゃない、三條だ」
がーんという表情になる三條。表情も五月蝿いなこいつ。
「あ、六谷、よかったらメアド交換しないか?」
「ぎちぎち」
「三條五月蝿い」
「いいぞ」
「ぎちぎち」
「三條、歯を痛めるからやめろ」
「魁さんが僕を労ってくれた!」
「病院代が高くつくからだ」
外野が五月蝿くて六谷と話が進められないじゃないか。
六谷とアドレスと電番交換して、ついでにコミュニティサイトに誘った。
陸奥「ここか」
学校の階段「名前渋いな。ようこそ」
薙刀「こっちのがいいか?」
やべぇ、どっちもかっこいい。
ナチュ「むっくんって呼ぶね」
相変わらずマイペースだな。
薙刀「招待ありがと」
つっくん「招待なんてしてないけどな」
学校の階段「私が招待したんだ。何か文句があるか? つー」
つっくん「ございません!」
薙刀「こいつもがくには頭が上がらないのか」
学校の階段を略してがくらしい。センスやべぇ。
薙刀「ところでもう一人は?」
学校の階段「はずー?」
季節外れ「 」
季節外れ「げんじつとはおもえません」
学校の階段「変換忘れてるぞ」
まあ、リアルでの五月は固まっている。イケメン二人と画面越しで会話。今までなかったであろう体験に感動しているらしい。
季節外れ「我が校上げてのイケメンツートップが揃い踏みって私なぞが添え物でよろしいのでしょうか」
学校の階段「いやいや、はずは添え物なんかじゃないから。メインキャストだから」
薙刀「卑屈すぎるのはあまり好かん」
季節外れ「はっ、わたくしごときが不快にさせてしまい申し訳ございません」
学校の階段「だからそれだって」
ナチュ「はっちゃんのこれも個性だよ、むっくん。ところではっちゃん、ツートップって?」
季節外れ「薙刀さんとつっくんさんは学校の女子という女子から目をつけられているのですよ。ここだけの話ですが、話しかけようと狙う姿はさながら獲物を狙う獅子のよう」
語彙力が相変わらず凄まじいな。そんなにすごいのか、この二人。
……ん? 待てよ?
またイケメンにお近づきになってしまったということは……
今日もトイレ掃除が大変そうだ。
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