17 新スキル、新魔法

 さて、魔族ロドゥイエとダンジョンボスを倒し、妖精を助けたわけだが、


「レミィ。悪いけどちょっと待ってくれるか? ステータスの整理がしたいんだ」


「了解ですぅ。あたしのことは気にせずどうぞどうぞですー」


 解放されたのがやはり嬉しいらしく、レミィはひらひらと楽しそうにボス部屋を飛び回っている。

 さっきまでの死闘が嘘のような、心和む光景だ。


 今回の成果だが……情報が多くてどこから見たものか迷ってしまうな。


 まずは基本中の基本、ステータスを確認しておこう。


「ステータスオープン」



Status――――――――――

ゼオン・フィン・クルゼオン

LV 4/10 (2up!)

HP 25/25 (10up!)

MP -697/24 (10up!)

STR 14+6 (2up!)

PHY 13+9 (2up!)

INT 21 (6up!)

MND 14 (2up!)

DEX 19+3 (6up!)

LCK 14 (4up!)

GIFT 下限突破

SKILL 初級魔術 逸失魔術 魔紋刻印 初級剣技 投擲 爆裂魔法

EQUIPMENT ロングソード 黒革の鎧 防刃の外套 黒革のブーツ

―――――――――――――



「能力値の上昇幅は前回と同じみたいだな」


 レベルが2上がったのはロドゥイエを倒した直後だった。


 魔法主体の戦い方だったからか、MPやINTが中心に上がってる。

 HPの上昇幅が最大値なのは、相手が強敵だった影響だろうか。


 「初級魔術」では、新しい魔法を一度に三つも習得してる。



Skill―――――

マジックショット

魔力の塊を撃ち出す魔法。魔力の塊の形状や数は経験を積むことで変化させられるようになる。

使い込むことでさらなる魔法を閃きそうだが、まだ先は長そうだ……

―――――――

Skill―――――

ストリームアロー

魔力で生み出した水の矢を放つ水属性の攻撃魔法。

使い込むことでさらなる魔法を閃きそうだ……

―――――――

Skill―――――

マジックハンド

魔力で不可視の手を生み出すことができる。ただし、攻撃に使えるほどの力はない。

使い込むことでさらなる魔法を閃きそうだ……

―――――――



「属性つきの攻撃魔法は嬉しいな」


 モンスターによっては弱点属性を突くことで簡単に倒せるものもいる。

 耐性を持つモンスターには逆に効きづらくなるから、事前に出現するモンスターの情報を得ておくことが重要だ。


 とはいえ、現状「詠唱加速」「マジックアロー」が強すぎるからな。

 しかも、無属性の魔法に耐性のあるモンスターはほとんどいないと聞いている。

 となると、戦闘であえて「ストリームアロー」を使う理由があまりない。


 とはいえ、使い込むことで新しい魔法を覚えるとも書いてある。

 戦闘上の必要がなくても修行の機会は設けたいところだな。

 とくに俺は、「下限突破」でMPの制約もないわけだし。


 「マジックショット」「マジックハンド」は試してみないことにはなんとも言えない。


 「マジックショット」は「マジックアロー」より細かい調整が利くようなので、使い込めば「マジックアロー」の上位互換になるかもな。


 「マジックハンド」は……ちょっと用途が思いつかないな。

 武器を持ったまま背中のかゆいところを掻いたりとか?

 「マジックハンド」そのものより、使い込むことで覚える次の魔法のほうが気になるかもしれない。


 ロドゥイエを倒した時に、「逸失魔術」「魔紋刻印」という二つの魔法スキルを手に入れている。


 どちらも世間的にはほとんど知られてないスキルだろう。

 少なくとも、ギルドとのやりとりで聞いたことはないし、伯爵家の資料でも見た覚えがない。

 まあ、それを言うなら「詠唱加速」もそうなんだけどな。


 「魔紋刻印」はもう見たから、「逸失魔術」を見てみよう。



Skill―――――

逸失魔術

古の超魔導文明が有していたとされる高度な魔術の一部を再現した魔法。

このスキルはあまりに難解なため、完全な形で使用するにはアイテムによる補正を除いたINTの値が75を超える必要がある。


現在使用可能な魔法:

「魔刃」

―――――――

Skill―――――

魔刃

魔力を極薄の刃として射出する魔法技術。

―――――――

Help―――――

魔法技術について:

魔法技術とは、詠唱のような通常の魔法実行プロセスを介さずに魔力を直接操作する技術です。その使用には魔法一般に関する深い理解と高度なイメージ力、極度の集中が必要となります。

―――――――



「INT75はキツすぎだろ……」


 俺のレベルの上限は10。

 これからレベル上限までINTを3ずつ上げられたとしても、INTは39までしか上がらない計算だ。


 INT75を達成できるのは、それこそ上位の勇者パーティに所属するような魔術師・賢者、大国の上席宮廷魔術師、あるいは魔術師系のSランク冒険者の一部だけだろう。


 って、このスキルをロドゥイエが使えたんだとしたら、あいつのINTは75を超えてたってことになるな。


 よくそんな化け物に勝てたな、俺……。


 一度にレベルが2つ上がったのも納得だ。


 その反動か、ゴブリンジェネラルを倒した後にはレベルアップはなかったんだよな。


 逆に言えば、レベルというのはそのくらい上がりづらいものなのである。

 俺のレベル上限の10だって、並の冒険者が一生かけて届くかどうかってレベルなんだからな。


「『魔刃』ってのを試してみるか」


 スキルを習得したせいか、なんとなくだがやり方がわかる。

 これは……あれだな。

 ロドゥイエのローブの魔紋が暴走し、ロドゥイエの身体をばらばらにした時の現象だ。

 ちなみに、ロドゥイエの死体は、ゴブリンジェネラルと戦ってるあいだにダンジョンに吸収されてなくなってる。


「ふっ……!」


 感覚に従って空を手で切ってみる。

 だが、起きたのはわずかな魔力の波紋だけ。

 これではとてもやいばとはいえないな。

 この魔法が弱いのではなく、俺の使い方が悪いんだろう。


 魔法系スキルでは、「爆裂の素養」がついに「爆裂魔法」に進化した。



Skill―――――

爆裂魔法

指定地点に圧縮された魔力を送り込み、爆煙と砂礫を伴う爆発を起こさせる攻撃魔法。土属性と火属性の複合属性。

使い込むことでさらなる魔法を閃きそうだ……


現在使用可能な魔法:

「ミニプロージョン」

―――――――

Skill―――――

ミニプロージョン

指定地点に圧縮された魔力を送り込み、爆煙と砂礫を伴う小規模な爆発を引き起こす攻撃魔法。土属性と火属性の複合属性。

―――――――



「爆裂石の小規模版みたいな感じか?」


 威力で爆裂石に劣る上に、魔法なので詠唱する必要もある。

 これでは爆裂石の劣化版にしかならないな。

 まあ、普通は爆裂石なんてそう何個も手に入るものじゃないから、比較対象がおかしいのだが。


 しかしそれも考えようで、爆裂石を使えないような崩れやすい場所では「ミニプロージョン」の方がいいかもしれない。

 ポータルから外に出た時に万が一地下洞に出るようならゴブリン相手に使えるかもな。

 でも、今なら普通に他の攻撃魔法を使ったほうが全然無難ではありそうだ。


 ただ、使い込むことでより上位の「爆裂魔法」を覚えれば、爆裂石以上の爆発を起こせるようになるという可能性もある。


 魔法以外では、



Skill―――――

初級剣技

初歩的な剣技。

使い込むことでより上位のスキルに成長しそうだ……

―――――――

Skill―――――

投擲

物を効果的に投げつける技術。

―――――――



 この二つも戦闘中に覚えてる。


 よく知られたスキルなので、効果についてはあまり語ることはないだろう。

 どちらのスキルも実のところ一朝一夕に得られるものではないはずなんだが、それだけゴブリンジェネラルとの戦いの「経験」が濃かったということか。


 残るは、このダンジョンの初回踏破ボーナスだな。

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