第13話 万馬券当選…配当金2785000円
その日、帰っている船の中で私は片手間にスマホのボタンをポチポチと
操作しながら競馬のレース結果を見る。
大本命に2万円も賭けた父の馬券は見事にはずれていた。
―――が、父の逆数字に女の直感がひらめいた私は8番を絡ませた
12-6-3と12-6-8を各5000円ずつ内緒で買っていた。
その運命を賭けたレース結果を見て私は何度も瞬きを繰り返し驚く。
スマホを持つ手のゆびに震えが加わりサァ…っと鳥肌が立つ。
〈ええ? マジ? ウソでしょ?〉
内心はそう思うが、まだ半信半疑 信じられない気分だった。
それも仕方ない。私が買った8番万馬券が見事に3着に入り込んできていたからだ。
しかも8番は入賞経験もなくノーマークの馬だった。
私はなぜかその馬の名前(エンドレスハナコ)が気になり穴狙いで買っていた。
1着、2着は無理でも3着くらいに入ればという思いで掛け金も各5000円と大きく
なり賭けていた。もしかしたら1万円損をするかもしれない。
だけど当れば配当金250万円以上の大勝負に出た夢馬券だった。
その結果、1着、2着、3着を見事に当て、3連単12-6-8が入った。
配当金55700円に驚く。5000円買っていた私の馬券は結構高く計算すると
総合計2785000円にもなる。私はすぐに口座を確認し2785000円が入金されて
いたことに更に
全ての運を使い果たした気分だった。
その日、金運がついていた私の運勢は逆に恋愛・結婚運はまったくダメだった。
あの日以来、高杉さんからは何の連絡もなかった。
互いにメール交換も電話番号も聞かなかった。
私は『いい人だな』とか『付き合ってもいいかな』とか内心期待していた気持ちが
心のどこかにひっそりとあった。だけど、高杉さんは違っていた。
高杉さんが私の電話番号やメールアドレスを聞かなかったってことは結婚対象者
として見ていなかっただけだ。後腐れなく諦められる。というか、最初っから
始まっていなかっただけだ。
結局、私は結婚には向いていなかっただけだ……
そう思えば気分的にも楽になれる。
そして、私はその日、高杉さんとお見合いしたことをリセットしたのだった。
相変わらず、父は飲んだくれ、競馬で大損を繰り返している。
何の変わり映えもしない日常に戻っただけだ。
あの日から私はハナコに愛着を感じ応援し続けているが、ハナコは入着どころか
ビリケツから数えた方が早いくらいに落ちぶれていった。
世間はハナコのことを一発屋だとか まぐれだとか言いたい放題、書きたい放題
叩きまくっている。
きっとハナコはあの日、頑張り過ぎたのだろう、、、
それでも私は総計100万円くらいはハナコにつぎ込んだ。
見事にハズレ続きだったけど、、、。
そのうち体調不良が続き、3カ月後、ハナコはレースにも出て来なくなった。
そして、ハナコと一緒に頑張ってきた騎手も引退したのだった―――。
お疲れ様、ハナコ。夢馬券をありがとう……。
私は心の中でハナコに感謝していたーーーー。
エンドレスハナコ、名前のように終わりなく永遠に続いて欲しかったよ、、、。
多分、私の人生は何も変化なく、このまま
今の現状がエンドレスに続いていくだろう。
香良洲島にはかなりの人口が減ったが、最近は落ちつきを取り戻し、死神も見なくなり、死神から解放されたと私達は少し安心していた。
ーーーだか、本当の悲劇はここから始まる。
その事をまだ、私達は知らなかっただけだつたーーー。
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