第2話 少年の死、選ばれし死神、ここに現れる

高杉の視線に倒れている子供の姿が映る。子供は血を流してうつ伏せ状態だった。

背格好や服装からしてその男の子は神之介である。

(神之介!! 動きがない。もう、死んでいるのか…ま、まさか…)

神之介の目の前には老いた化け物が長い舌を出して傷口を舐めている。


「バン!!」

高杉は入り口のドアを思いっきり蹴破けやぶった。

「やめろっ」

咄嗟に腰にぶら下げた拳銃を手に取り高杉は『パァーン』と一発、化け物の腹に打撃を与えた。

「こう見えて、結構 俺は射撃打率はいいもんでね」

「何をする、痛いじゃないか」

たが、死神にそんな小細工は全くきかない。

化け物の開いた穴はどんどん塞がっていく。

「くっそ…化け物め。お前か電話をかけてきたのは…」

「ああ。私は数百年前にこの雑木林に埋められた死神…この子が私を数百年の眠り

から目覚めさせてくれたんだよ。命と引き換えにね…」

「なんだと…」

「私が電話で言っただろ。お前の息子はもうすぐ死ぬと…。もうすぐというのは

5分ももたないということだ。だから、私が目覚めたんだよ」

「俺の息子をどうするつもりだ」

「私も数百年、眠っていると老いてくるのが早くてな。私を最初に目覚めさせて

くれた者を後継者にと思っていた所だ」

「なに!? 死神の後継者だと?」

「幸い今日は友引だ。この子も一人じゃ可哀想だろ?」

「何を言ってる!?」

「見ているがいい。選ばれし死神の誕生を…そして、私は若返るのだ」

「!!」

(そいつは長い舌をべローンと出し神之介の体に巻きつけていく)

「やめろ―――っ!!!」


(そして、奴は神之介をペロリと飲みこんだ)


「うおおおお…神…之介―!!」


溢れるほどの涙が高杉の目から流れて落ちている。


「神之介ー」



(神之介は死神と融合し、そいつの身体の中へと取り込まれた)


(その後の記憶は全くなく、、、、)




翌朝、高杉は遺体となって発見されたのだった――――ーーー。



――――そう、その日のこよみは友引だったーーー。







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