第2話 少年の死、選ばれし死神、ここに現れる

(神之介が行方不明になって、どれくらいの時間が経ったのだろうか…。

こんなに探して見つからないのはおかしい…。しかも、あの男はなぜ

駐在所の電話番号を知っていた?)


高杉は住人達から離れ、一人深い森へと入っていた。そこは雑木林の茂みで

高杉は視野を塞がれていた。ふと、振り返ると来た道さえも閉ざされていた。

その目に映るのは荒く茂った木々と緑に覆われた雑草のみだった。


「町長さんー」

高杉は声を張り上げて叫ぶが応答はなく、その時 静かな風がフゥ…と吹いてきた。

と思ったら、パサパサと木々の茂みから黒い物が飛んできた。

「うおぉぉっ」

驚いた高杉は思わずドスンと尻もちをつく。

(やばい、、道に迷ったか…)

「カーカー」

カラスが2羽空を回っている。

(なんだ、カラスか…。驚かすなよ)

「カーカー」

(しかし…カラスって…なんて不吉な……)

と思ったら急に空一面灰色雲に覆われた。

(こりゃ一雨きそうな雨雲だな…天気予報じゃ降水確率0%だったのに…)

高杉は走った。石につまづき足を取られ地面に倒れ転んでも、また立ち上がり

とにかく走った。そのうち雨が降り出してきた。

(早くこの不気味な雑木林を抜けなければ…それに神之介も家にもう帰っている

かもしれないし…)

高杉は雨に打たれながら懸命に抜け道を探す。

(もしや神之介もこの雑木林に入って道に迷ったんじゃ…)

高杉の脳裏にもう一つの仮説が思い浮かんだ。

「…ん?」(あれは…何だろ…)

そして、高杉の視線の先に古びた木造の小屋が映った。

(小屋か…。ちょっと雨宿りでもして行くか…)

高杉は引き寄せられるかのようにその小屋に近づいていく……。


カタッ

「え?」

何かが高杉の靴と接触した。高杉は『何だ?』とそれを手に取る。

それは爪先が擦れたスニーカーだった。大人の靴というより子供のサイズだった。

そう…サイズは23センチ。男の子の靴だった。


高杉は神之介が履いていたスニーカーを思い出す。まさに、今、高杉が手に持っていスニーカーと同じ色のものだった。


(神…之介…。ま、まさか……)


高杉は小屋の小窓から中の様子を伺う。


「!!」








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