未明


旅行の2日前未明、俺とアキラは一緒に会っていた。



「アダルトショップ行ってみたい」とアキラは俺に言った。



「アダルトショップか、いいね」と俺は答えた。



「何か欲しい物あるの?」と俺はあきらに尋ねた。



「首輪、引っ張られてみたい・・・・」



「おお、いいね。俺も引っ張って見たかった。」いちいち俺の性癖に刺さるような趣味を持っていて最高だ。



「いつ行く?」とアキラが俺に聞いてきたが俺は「今行こう、時間ある?」と聞いた。



アキラは「ちょっとだけならいいよー」と快くOKをして



アダルトショップはアキラの会社寮の近くにあるから、直接ショップの方で待ち合わせしよう計画を立てた。



アダルトショップで待ち合わせ・・・・だいぶ攻めたな、と思ったが俺はあきらに会えるだけで嬉しいのでそういうのは気にしなかった。



俺は深夜にも関わらず13キロ先の郡山のアダルトショップに意気揚々と車を走らせた。



アダルトショップに着いたがあきららしい姿は見当たらない。



あきらにチャットを入れた。



「今どこ?」



「ごめんね、化粧で時間かかったからまだ歩いてる。」



「そかそか、急に誘ってごめんね」



「ううん、大丈夫。アダルトショップ初めてだから楽しみ」



女の子とアダルトショップ行くのは男の夢でも会ったので俺も楽しみだった。



外を見回すと黒いジャージ姿の女の子がスマホを持ちながら歩いていた。きっとあきらだ。



「おーい、今歩いてる?」



「歩いてるよー。」



「シルバーの車!」



「シルバーの車?」



「なにそれ」



「前のシルバーの車」



「そこに俺は居るよー。ハザード炊いてる」



「あー、今行きまーす」



黒ジャージの女性は俺の車に近づいてきて窓ガラスをコンコンと優しく叩いた。



俺は助手席のドアを開けた。



「久しぶり。」


とあきらは俺に手を振りながら言った。


「おう、ひさしぶり」と俺は答えた。


アキラは車内に乗り込むとシートベルトを付けた。


「とりあえず店向かうよ」と俺は言ってアクセルを踏んだ。


「はいは~い」


アキラは俺の方を見てニコッと笑った。


アキラは相変わらず可愛かった。


「着いてるよー」



「そだった、入ろうかー」と俺達はミニコントをした。



アキラは俺の後ろに付きながら凄い凄いとはしゃぎながらアダルトショップの店内を見て回った。



「えっ!?なにこれ!?」


アキラは何かを見つけて声を上げた。


「どうしたの?」


「なにこれ、めっちゃ可愛い!」


アキラが手に取ったのはふわふわの足枷だった。


「これさ、スイちゃんが来た時に着けさせてようよ」


と俺は悪い提案した。


「清純派のあのスイちゃんに足枷つけるとか罪悪感やばい」


とアキラは嬉しそうにいった。



その隣にはトゲトゲの付いた首輪があった。



「あきらー、あったよー首輪。」



「ええー、めっちゃいいじゃん。雰囲気あるー」



「買ってあげるよ」



「いいのー?」



「いいよ、その代わりすいちゃんに絶対足枷着けさせてね。」



「努力します。」


と俺とアキラは悪巧みの計画を入れた。



あの時の約束をあきらは果たした。ドッキリみたいで楽しかった。



スイちゃんは「これ誰が買ったの?」と聞いていたが俺とあきらはうまく誤魔化したつもりだった。スイちゃんは「ふーん。」と言っては居たが誤魔化せては居なかっただろう。


朝になり俺は仕事に行き、スイちゃんは朝食バイキングを済ませて俺はお見送りをした。



だけど、俺は楽しみだった、その理由は、アキラと今日逢う約束をしているからだ。



朝、アキラからチャットが来た。



「おはよー」とアキラからチャットが来た。



「おはよう、どした?」



「今日夜、会えない??」



俺は内心爆発しそうなくらい嬉しかった。



いいよと返事を返そうとしたら、「前買った首輪を試したくなった。」アキラからチャットが来た。



また、アキラとラブホテルに行ける、最高だ。しかも首輪を着けるなんて楽しみで仕方がなかった。


「いいよ」と俺は答えた。


「じゃあ、夕方頃に郡山駅に来て」


「わかった」


「バイバイー」


俺はアキラとのやり取りを終えた。


そして俺はいつも通り仕事をこなした。


昼休憩の時間になるとアキラから電話がかかってきた。



「ねぇー、一緒にゲームしない?」とアキラから誘いが来た。



「いいよー、今日仕事じゃなかったっけ?」と俺が問い詰めると



「昨日のみすぎちゃったから、休んじゃったよ。熱が出たって言い訳して」とどうしようも無いな、とちょっと呆れたがアキラと一緒に時間を共有できる事が嬉しかった。



「俺昼休憩中だから16時までなら出来るよー」



「3時間は出来るな、了解」とアキラから返事が来た。



アキラはゲームが俺より上手かった。バトロワを一緒にやっていたのだが、俺はアキラにキャリーされてばかりだ。そんなアキラはお構いなしに



「うわー、銃声が聞こえると吸い寄せられちゃうよーわはは」と言って一人で敵部隊を壊滅させるぐらい実力があった。俺なんて一人倒すだけでもひいひい言ってるのに、情けない。ゲームではアキラには敵わなかった。


俺は負けっぱなしだったがアキラは俺を褒めてくれた。


「ててさん、強くなったねー。でもまだ弱いよ。」


「うわー、アキラ強いわー。」


「そんなことないよー」


「いやー、アキラはやっぱり凄いよ」


俺はアキラと話すだけで楽しいし、この時間が永遠に続けば良いのにと思っていた。



「一時間は寝たいからこれで最後ねー」



アキラは了解と了承したがこの時間が楽しくて俺自体があともう一戦とねだって結局寝られずに仕事が始まる時間まで遊んでしまった。



「あ、マジで仕事始まる時間だからまた夜会おうね」



「いぇーい、楽しみ」とアキラは喜んでいた。


俺は仕事終わりの23時30分に郡山駅の近くの有料に車を停めて待っていた。


するとアキラからチャットが入った。


「ごめん、今起きたよー」


「まじか、どのくらい掛かる?」


「30分待って」


「まぢか、了解(´;ω;`)」



と送ったらアキラから電話が掛かってきて「ててさん、本当にごめん」と一言いわれた。



アキラと通話をしながら40分ほど待っているとアキラが現れた。


「ごめ~ん、待たせたね」と謝りながら助手席に乗り込んだ。


「大丈夫だよ、眠くなかった?」


「うん、チャット来るまで完全に寝てたわ。」とアキラは申し訳無さそうにこちらを見上げた。


「ねね、スイちゃんはちゃんと帰った?」とアキラは聞いた。


「ああ、ちゃんとお見送りしたよ。」


「そう、良かった。」


アキラは安堵の表情を浮かべていた。


有料駐車場から出て徒歩でアキラと目的地のラブホテルへ向かった。その時離れて歩く事にした。アキラ曰く会社の人に見られたらまずいからだ、と言う。



俺達はホテルに入った。このパネルもボタンも久しぶりって感じだった。前までラブホテルなんて映画やドラマの映像でしか観たことがなかったのにこんなに見慣れる光景になるなんて考えてもみなかった、自分のホテルも無人でタッチパネル式だと楽なのになーと人見知りの俺は感銘を受けていた。


「先にシャワー浴びる?」とアキラに聞くと


「一緒に入っていいの?」と聞くとダメ、変態。と返ってきたが、裸みられたくないし、もうちょっと馴れてからがいいかな、と期待させるセリフが飛び込んできた。



「じゃあ、先に入るね。覗かないでね、覗いたら帰るから」とアキラは風呂場に向かった。



この前と同じ光景だ、俺はこの前確認した照明、ラジオ、いい雰囲気のやつないか探した。アキラとやらしいことがしたい。もっと触れたい、という心とダメだ関係が終わってしまう可能性があるじゃないか、それはアキラの求める刺激じゃない、変な事したら嫌われちゃうかもと自制心をもつ心と葛藤していた。


アキラがお風呂から上がりバスタオル一枚巻いて出てきた。前回と違って髪は下ろしていて、化粧はしていなかった。


「ててさん、何見てるの?」とアキラは笑った。


「ごめん、照明とか変えようかと思って」


「へー、なんかエロい雰囲気しようとしてない?」


「バレた?」


「そりゃあ、わかるよー」


「なんかいいのあった?」


「うーん、JPOPの有線とか?」


「うーん、微妙」



「クラシックもあったよ?」



「上品だけどなんかムード足りないねー、私クラシック知らないしいいや音楽うるさいから消そうよ」



「ててさん、スマホから何か流してー」



「わかった、」と俺はスマホからアキラの好きそうな音楽を流してアキラがベットに入ってきたが、「ててさん、お風呂入ってない。入ってきて」とベットから追い出されて風呂場に連れて行かれた。



俺はすぐ体を洗ってすぐに着替えた。



アキラはびっくりしていた。「早すぎ、ちゃんと洗った?」と聞いて来たので俺は「男の子なんで」と照れながら返した。



「そういうとこいいよねー、男の人って。私も男に生まれたかったなー」


アキラはかわいい女の子じゃないか。男が誘われるような仕草、要素、セクシーな顔が揃っている。完璧に女の子だ。


俺とアキラはベッドの上でお互いの事を話した。


「アキラってさ、どんな人がタイプなの?」


「うーん、優しい人とかかな?あと一緒にゲームが出来る人!」


とアキラは言った。


「ててさん、私の事どう思ってるの?」とアキラから聞かれた。


「そうだなぁ……愛おしいかなぁ」俺はアキラの頭を撫でた。


「えっ!?どうしたの急に?ありがとう。頭撫でられるの悪くないかも。」


とアキラは目を細めた。


「アキラって好きな人いるの?」と俺は聞いた。


「居ないよー。しいて言うなら弟かなー、愛おしいって感じるよー」


「ててさんはうーん、わかんないけど、一緒に居るだけで楽しいし、一緒にゲームするの好き。」とアキラは答えた。


そうボーっと話してると一時間が過ぎていた。



「あ、やばい。首輪試してないじゃん!」と俺がベットから飛び起きて言った。やらしい事で頭がいっぱいだった。


「あと一時間だ、やばいやばい。私に首輪をつけて」とアキラは言った。俺はやったことが無かったので説明書を観ながらアキラの首に首輪をかけた。



「早く、引っ張って!」とアキラがせがんだ。



俺はベットから離れてアキラの全体像を観た。



眼鏡を掛けた文学少女みたいな女の子が首輪を着けながらベットの布団の上に足を崩して座っている。いけないことをしているみたいで脳汁がサーッとなった。興奮したのだろうか。



その興奮に身を任せ俺はアキラを容赦なく引っ張った。



「ごほ、ごほごほ、気持ちいい・・・」とアキラは本当に気持ちよさそうな猫撫声を上げていた。そういう人、そういう世界に踏み込んでしまったのだな。俺は。。。だけど、性に合いすぎていて風俗店でやらしいことをした事に比べても比べ物にならないくらい最高の気持ちだった。



そして俺は何度もアキラの事を引っ張った。支配欲が満たされてたまらない。



「もっと、もっと」とアキラはせがんできた。


「あー、幸せ」とアキラは満足げな表情を浮かべていた。



何度も思いっきり引っ張ったせいか、首輪に付いているリードが壊れてしまった。



「あきら、壊れちゃったよ」



「あーあ、しょうがない、じゃあ今度は首を締めてよ」とアキラはせがんで来た。俺は喜んで了承した。



アキラは俺の手前に座ってになって俺を誘ってきた。


俺はアキラの首を肘に力を少し入れてみた。


「あっ、ててさん、下手に力弱いと苦しいからもっと強くして」


俺は言われるがまま手に力を込めた。


「苦しい、でもきもちいぃ」


「アア…」


アキラは気絶した。



「おい、大丈夫か?アキラ」流石に強すぎたかな。俺はアキラをトントンと必死に肩を叩いた。するとアキラは意識を取り戻した。


アキラは辺りを見回してキョトンとした顔をした。



「一瞬、なんでててさんと私がここに居るのかわからなかった。私とててさんがやらしいことするはず無いのに。と思った」



「頭に廻る血も圧迫されちゃうから栄養が来なくてバグっちゃったんだねぇ。あぶない、あぶない。」



「今日はもう危ないからやめよう?」とあきらから切り上げられた。



俺はしぶしぶ了承した。



「そういや、今日が遊べる日が最後なの。私ヘルプ期間終わったから明日新潟に帰らなきゃいけない。」



「ええ、引っ越しの準備期間とか無いの?」



「ない、次の日すぐ新潟で仕事だからすぐ支度して帰らなきゃ、」



「そうなんだ、新潟でも遠いからあんまり会えないけど一緒に遊ぼうよ。」



「いいの?やったー」とアキラは子供のように喜んでいた。


アキラと別れて帰った後、俺はいつも通り仕事をこなした。

少し寂しかった、沢山会いたいのに会える日が減ってしまう。

気持ちを抑えるので必死だった。仕事終わりにまたアキラから電話が来た。


「ててさん、今からご飯行こう」と誘いがあった。

「いいよ、どこ行く?」と聞くと

「会社寮の近くにあるイタリアンのお店行きたい」と言った。

「じゃあ、そこで待ち合わせしよう」

「うん、楽しみ」と電話を切った。

俺は急いで着ていく服を考えた。

お洒落な服を着ていこう。アキラに気に入られたいし、俺もカッコイイ所を見せたいという見栄を張っていた。

俺はお洒落なジャケットを着て家を出た。

外は雨だった。最悪だな。

車でアキラの待っている場所に向かった。

「ててさん、こっち、こっち」とアキラは手を振っていた。

俺は、イタリアンレストランの駐車場に車を止めてアキラの方に向かった。

初めて会った時は仕事着だったが、ジャージにすっぴんと部屋着姿でとても可愛く見えた。

「お待たせ」と俺はアキラに声を掛けた。

「ててさん、お洒落だねー」

「ありがとう」

俺はアキラと食事をした。食事中はアキラの仕事の話や、趣味の話を聞いていた。

「私、上司に部屋で呑まない?って誘われちゃったよー」

とアキラは困った顔で言ってきた。

「アキラってさ、モテてるんじゃない?」と俺は冗談半分で言った。

「そんな事ないよー」とアキラは笑った。

「なんか、おじさんキラーみたいな顔してるし」

と俺も笑った。

「えー、どんな顔ー?」とアキラは興味津々にこちらを見た。

「そうだなぁ、なんか色っぽい感じの顔」と俺は言った。

「それってどういう意味?」とアキラは聞いてきた。

「なんかさ、大人の魅力があるというか、エロいんだよな」と俺は答えた。

「へー、そういう風に思われてたんだ」とアキラは恥ずかしそうに下を向いた。

「ててさんもそう思うの?」


「ああ、そう思うよ」と俺は言った。

「それって、ててさんは私に対してどう思ってるの?」とアキラは質問してきた。

「そういうとこも含めて愛おしいかなぁ」と俺は誤魔化しながら答えた。

「ええ、何それぇ」と言ってアキラは笑ってくれた。

そうやって話しているうちに時間は過ぎていった。

「そろそろ帰るかぁ」と言うと

「まだ帰りたくないよぉ~」と言い出したが明日帰る身支度終わってるの?と聞いたら「終わってない」と凹んだ顔でアキラは答えた。

そして楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、とうとうアキラも新潟に帰ってしまった。

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