エピローグ(箸休め)




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 こちら、実況のユーリで~すっ。

 本日もこちら、渋谷ダンジョンから連日話題となっているラスボス実況をお送りしたいと思いま~す!


 〉〉〉〉




 その日も、朝から非常にうんざりするような実況映像が流れていた。

 なんだか知らんが、あの馬鹿女、リアルタイム配信していたらしい渋谷ダンジョンでのボス戦映像を、後日手を加えてアーカイブ配信したらしいのだ。


 そのせいで、最初は音声なしのダンジョン攻略映像なだけだった実況映像が、すっかり娯楽作品に仕上がってしまった。


 しかもあの野郎。

 わざわざ音声データで俺たちのことを懇切丁寧に説明しやがったのである。





【ユーリの実況配信記録(アーカイブデータより)】


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 私たちはおかしなギミックを偶然発見し、最下層のボス部屋を発見したのです。

 ですが、相手は超絶強い特Sランク!

 そんな敵を相手にたった六人で太刀打ちできるはずがありません。

 たとえSランク冒険者と言えども!


 半死半生。

 私たちは死を覚悟しました。

 そんなとき、彼らが現れたのです!


 〉〉〉〉



 映像は多少加工されていたが、ボス戦攻略時に配信されていたものとほぼ同じものが使われていた。

 そのため、いつものようなリポーターっぽいノリで彼女は一切映っていない。



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 彼らはあるときはギルドで騒動を起こし、

 あるときはコロシアムであの悪名高い『竜の顎門』を完膚なきまでに叩きのめした新人冒険者たちです!

 無名であり、オールFという最低ランクの駆け出し冒険者だったのに、彼らの戦闘力は異次元の強さを誇っていたのです!


 〉〉〉〉



 やや淡々とした感じで流れる音声と共に今映っている映像は、俺たちが終末戦争でも起こしているのではないかと思えるような激しい攻防を繰り広げているシーンだった。

 そして、その後で、まるで召喚されたかのようにいきなり出現した巨大な剣と鎌が、最強クラスのボスモブを殺戮して行った。



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 あの凄まじい攻撃!

 そして、意味不明なあの召喚魔法!

 いったいあれが何を意味しているのかわかりません。 

 ある人たちは言いました。

 あれはとあるゲームのラスボスが使ってきていた攻撃にそっくりだと。

 そして、ある人は言いました。

 数年前に崩壊し、一瞬にして再生され、改変されたこの世界がそのゲーム世界に酷似しているのだと。

 であるならば、そのラスボスの攻撃を繰り出してきたあのオールFランクの冒険者はいったい何者なのか?


 その謎を突き止めるのはあなたかもしれません。


 以上、実況のユーリでした。


 〉〉〉〉




 ギルドから大ボス討伐報酬特権として与えられた、ギルド直轄高級ホテルの最上階に俺たちはいた。

 このホテルは旧時代にあったビルみたいな建物ではなく、あくまでもゲーム世界でよくあるような建築物だ。

 そんな五階建てのホテルの一室を、永久使用できる権利をもらっていたのである。


「はぁ……。本当に碌でもないことしやがるな」


 ベッドに寝転がり、真正面に据え置かれていたモニター映像を見ていた俺は、何度目になるかわからない溜息を吐いた。


「本当ですね。いっそのこと、ヤっちゃいますか?」

「うっふふ。いい案ねぇ。最近、私、欲求不満なんですぅ」


 そんな本当にしょうもないことばかりをのたまっているのは、クリスティーナとユメルである。

 というかこいつら、どさくさに紛れて俺の両隣に添い寝してやがった。

 しかも、俺が上半身裸なのをいいことに、ベタベタと触りたい放題。

 本当にエロくてヤンデレでどうしようもない女どもだった。


「ちょ、ちょっとっ! あんたたち何してるのよぉ~!」


 そんな俺たちを見ていたアマリアが、クマのぬいぐるみを抱きしめながらベッド脇で悔しそうに地団駄踏んでいた。


「あらあら、うふふ。リアちゃんも混ざりたいのかしらぁ?」

「は、はあぁ~?? そんなわけあるはずないじゃない! ばっかじゃないのっ!? だ、だけどまぁ、バルトがどうしてもって言うなら、一緒に寝てあげなくもないんだけど……」


 アマリアはそっぽを向いたあと、チラチラと俺に一瞥をくれ始める。


 俺はもう一度溜息を吐いて天井を見つめた。


 死に戻って転生したと思ったらなぜかVR―MMORPG『ロストアグリエス・オンライン』の世界が現実世界に召喚されていて、肝心の俺はといえば神であり魔王でもあるラスボスになってるとか。


 本当に意味がわからん。

 俺は一人、今後のことを考え溜息を吐き続けるのだった。






―― 渋谷ダンジョン編 完 ――





~~ * ~~ * ~~


【あとがき】


 今回、初めて実況配信なる要素を取り入れて作品を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

 うまく書けていましたか?

 自分ではよくわからないので、喜んでいただけたのでしたら幸いです。


 さて、今回のこのお話ですが、一旦ここで〆させていただきます。


 ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

 もし、ご要望が多ければ、どこかのタイミングで長編化するかもしれませんが、現時点では執筆時間の関係で少し難しいです。

 まとまった時間が取れれば書けるかもしれませんが……。


 世界中のダンジョン攻略とか、アリアンロッドネタ、まだ出て来ていない人物たちなど、ネタは色々あるので走り出せばすぐ書けるのですが、無人島の方の連載速度がギリギリだったり、リアル都合により身動きが取れなかったりと、本当にいっぱいいっぱいで(汗


 ですので、一旦筆を休めさせてください。



 なお、今回のお話を書くに当たって得た知識や経験を元に、後日、このお話とはまったく世界観の異なるゲーム作品を執筆するつもりでいますので、そちらの連載が始まったときには、またよろしくお願いします。

(時間がないので、いつ書けるかわかりませんが……)



 それまでは、今現在連載中の別作、


【ガチャで手に入れた『異世界召喚スキル』を使って、異世界にあった無人島と美人エルフを現実世界に召喚しました! ついでに島も開拓してスローライフを満喫します!】

https://kakuyomu.jp/works/16817330656921910112


 をお楽しみいただけたら幸いです。



 それから、ここまでお読みいただき、面白かったよぉ~と喜んでいただけたのでしたら、★付けなどお願いします~。





 ――それではまた、別の作品でお目にかかりましょう!


ぺこり



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VRMMOのラスボスとして転生した俺。どうやら無自覚なままゲーム世界を現実世界に召喚して世界中にダンジョン作っていたらしいので、自分で攻略してみます! 坂咲式音 @szk_siroo

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