第21話 深層域で遭遇したもの
そうして、十八層まで来たときだった。
「おや?」
ふと気が付いたら、周囲に人気がなくなっていた。
この辺にはモンスターの赤マークも付いておらず、元々、大したモブが湧かないと情報にも載っていた。
だから冒険者どもがここへ来なかったのかもしれないな。
来る場所を間違えたか?
一人そんなことを思っていたら、
「あ、バルト。なんか湧いたよ?」
「あ?」
急に三メートル前方に、剣と盾を持った骸骨が三体現れた。
「おぉぉおおっぉっ! アンデッド! これぞまさしくRPGの醍醐味!」
一人感動している俺を見て、知らん間に俺の前に出ていたちびっ子アマリアが馬鹿にしたように俺を見た。
「ホンット、あんたっておかしいよね!? モンスター見て喜ぶとか――ま、まぁ、もしアレなら、あたしが片付けてやらないこともないんだけどね!」
とかなんとか言いながら、どっから取り出したのか、草刈り鎌みたいなちっこい
それを見て、俺はたまらず叫ぶ。
「おい、やめろ! 奴は俺がやる! 俺にやらせろ!」
「えぇ~~! でも、あんたが手を出すまでもないんじゃないの!? こういうときは、あたしみたいな――」
――あなたのためだけに存在している私たちが尽くすものじゃん?
とかなんとか、最後の方は頬を赤く染め、デレながらぼそっと呟いた。
俺は非常に薄ら寒くなりながらも、アマリアを後ろへ押しのける。
「とにかく、俺にやらせろ――えっと、こうだったか? ディバイン・スラッシュ!」
俺は中二病みたいな叫びを上げて、構えたロングソードを袈裟懸けに一閃した。
こうすることで、ゲームではアクティブスキルが発動し、前方へと次元断層攻撃が飛ぶのだ。
即ち、空間を切り裂くかまいたちのような攻撃。
おそらく、これである程度のダメージを負わせられるはずだ。
――オールFランクステータスだけどな!
少々残念な気分のまま、自分の繰り出した攻撃の結果が出るのを待っていたのだが――
「あ、あれ?」
確か、この攻撃はちっこいかまいたちが飛ぶだけだったはずなのに、なぜか、超特大の残影が飛んで行き、眼前の三体のみならず、更に湧き出ようとしていた他の二体も丸ごと木っ端微塵に粉砕してしまったのである。
しかも、周囲の壁までドラゴンが爪でひっかいたような跡ができあがっていた。
もはやこんなもの、ただの初級攻撃ではない。文字通りラスボスクラスのステータス詐欺だった。
「――おいおい。これ、まずくね?」
一人呆然としていたときだった。
「ご主人様! お気を付けください! 何か得体のしれないものが出てきます!」
「得体のしれないものだと? まさか、大ボスじゃないだろうな?」
「わかりません、ですが――」
クリスティーナの声は最後まで続かなかった。
――キシャーー!!
突如として湧き出た金ぴかで巨大な骸。
上半身は人の姿をしていたが、下半身はサソリとムカデが混ざり合ったような、そんな出で立ちの骸骨だった。
――まさしく、レアモブ。
ギルドにも出回っていないレアモンスターだった。
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