第15話 神の使徒




【HP】測定不能

【MP】測定不能

【STR】A

【VIT】S

【DEX】A

【AGI】A

【MND】S

【取得スキル】XXXX(解読不能)

【取得魔法】XXXX(解読不能)

【適正クラス】神の使徒ホーリーエンジェル



 それぞれ多少の差異はあったが、アマリア、クリスティーナ、ユメルの三人は大体そんな感じのステータスとなっていた。

 そして、それを見たギルド嬢が顔面蒼白となった次第である。


 どうも、普通の冒険者は冒険者ランクによっても違うが、平均だとステータスはCぐらいが相場らしいのだ。

 しかも、測定不能だとか、文字が掠れていて読めないとか、そういったことも起こらないらしい。

 更に、今にも倒れそうになっているギルド嬢が最も恐怖に戦いているのが最後の適正クラス、神の使徒だった。


 まぁ、ゲーム内ではこいつらはただの霊獣としか表示されていなかったから、即、身バレとかにはならんだろうが、神の使徒とか言われると、あぁ、と納得してしまう。何しろ、こいつらの親玉は神である俺だからな。


 しかし、感心している場合ではない。このままでは正体がバレて大変なことになる。それこそ、ここにいる冒険者どもに実況配信されて追いかけ回されかねない。


「こ、これはいったいどういうことですか? 長いことやってますけど、こんな高いステータスの新人さんは初めて見ましたよ。しかも、なんだか見たこともないようなクラスが……」


 なんだかすっかりキョドってしまった彼女の様子に、さすがに他の冒険者たちも気が付いたようで、ぞろぞろ集まり始めていた。


 ――これはまずいな。


 俺は軽く舌打ちしたあと、三人分のステータスカードを持ってブルブルしていたギルド嬢から、それを無理やりひったくってやった。


「もうそれぐらいでいいだろう? 登録の方を頼みたいんだがな?」

「あ……は、はい」


 幾分冷静さを取り戻した彼女は、何やら書類を書き始める。

 その作業が一通り完了したあとで、


「そちらのお三方は終わりました。次はあなたの番ですね」


 ややぎこちなく笑う美人さん。


 俺はアマリアたちと同じように鑑定とやらを行ってみた。


 が――


「こ、これはっ――」


 鑑定が終わって天秤からカードを外した彼女がまたもや驚愕して固まった。


「なんだなんだ?」

「おい、さっきからいったい、どうしたってんだよ、兄ちゃん」


 とか言いながら近寄ってくる荒くれどものような筋骨隆々なお兄さん方に完全に取り囲まれてしまった。


 ――やばいぞ?


 もしこれで、アマリアたちみたいに適正クラスに大魔王とか書かれていたら、とんでもないことになる。


「おい! いいからさっさと寄越せっ」


 俺は例によって、素早くひったくってやると、ステータスカードを確認した。


「は? ――はぁぁぁ!?」


 そこに書かれていた神である俺の能力値は――



【HP】F

【MP】F

【STR】F

【VIT】F

【DEX】F

【AGI】F

【MND】F

【取得スキル】なし

【取得魔法】なし

【適正クラス】聖騎士テンプルナイト



 とかだった。


「だぁ~はっはっはっはっ」

「おい、にぃちゃん! おめぇ、将来大物になれるかもな!」


 俺を取り囲んでいた野次馬どもがゲラゲラ大笑いしやがった。

 しかも、一番恐れていたことが起こった。

 そこら中で、実況配信が始まったのである。



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