第56話 帝国と皇帝19

 光が晴れたところ、レンが見たのはどこまでも広がる草原だった。

 高速で流れていく風が頬を撫でる。

 真下にいる魔獣の大群が見える。

「彼女の騎士よ。力を示せ」

 四十二人の蒼い炎を纏った騎士を呼び出す。

 三方に騎士を分散させると魔法を使って着地する。

『多少討ち漏らしても大丈夫よ』

「問題ない。この程度なら全滅させられる。それよりも魔力足りなくなりそうなら早めに言えよ」

『それこそ問題ないわ。どんどん使って殲滅しなさい』

 レンは口角を上げるとブルーローズの炎の出力を上げ、それだけで周囲を囲む小型の魔獣を灰に変える。

「なら。お望みのまま。ったく、魔獣相手は楽でたまらないな」

 そこからは魔獣の殲滅は一時間も経つことなく終わった。

 一匹とも帝国の兵器の射程に入ることはなかった。

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