第50話 帝国と皇帝13

 イングリットの紹介で皇族御用達の銃の売っている店に向かう。

「らっしゃい。話は聞いている」

 店の店主である白髪の老人が店の中に入ってきたレンたちに声をかけてくる。

「どんな銃が欲しいんだ?」

「拳銃。実弾は撃てない魔導式。それほど連射力がなくて反動が少ないのが欲しい」

「わかった。少し待っていろ」

 店主が店の奥に入っていくとティアが店の中を散策する。

「銃が並んでいるのかと思ったのですがパーツばかりですね」

 ティアにそう言われてレンは初めてだとそう思うかと思った。

 店の中には銃が一つもなく、スコープなどのパーツか何かのバネの部品などといった物しかない。

「防犯のために店の中に銃は置かないようにしているんだ」

「なるほど。確かに実弾だったら撃てませんけど、魔導式だと撃てるから危ないですからね」

「そうだ。だからパーツでも見ておこう」

「はい」

 ティアはレンに言われた通りに銃のパーツを眺めて、レンにどんなパーツなのか聞いて銃に詳しくなろうとしていた。

 数分後、幾つかの銃が入った箱を持って店主が戻ってくる。

「持ってみろ」

「わかった」

 レンは店主の持ってきた銃を手に取り構えてみる。

 だがどれもレンの手に合わず首を傾げる。

「もっと軽いのはないか?」

「やっぱりそう言うか。じゃあこれは?」

 店主が出してきた拳銃を持ちレンは左右に振る。

「これくらいがいい」

「そうか。となると……この辺りか」

 店主は箱の中から三種類の拳銃を出す。

 ティアの目には装飾と色の違いくらいしか違いが判らず首を傾げていた。

 レンはそれぞれを手に持ちいろんな角度から眺める。

「違いわかります?」

「多少はあるだろうが撃ってみなければわからない」

「地下に射撃場がある」

「わかった」

 店主の言葉通りに店主とティアと店の地下に行くと地上の二倍以上の広さがある空間が広がっていた。

「好きに撃ってみろ」

「ああ」

 レンは一つ手に取ると魔力を送りこみ、弾を生成する。

「ティア、耳塞いだ方がいい」

「えっ? あっはい」

 ティアが手で耳を塞いだことを確認したところでレンは近くの的を狙う。

 装填分全て撃ったところでレンは次の銃を手に持つ。

 三種類全部試したところでレンは一つの銃を取り店主に見せる。

「これは?」

「モーントシャイン」

「確か帝国の言葉で月光っていう意味の言葉ですよね」

「月光か。いいんじゃないか。店主、これを貰えるか?」

「カスタムはどうする?」

「消音と弾生成増加が欲しい」

「色の変更もできる」

「色か」

 レンとしては色なんて目立たなければ何でもいいと思うのだが、折角ティアがいるのだから色くらい選ばせてあげた方がいいだろう。

「ティア。あまり目立たない色なら好きな色選んでもいい」

「本当ですか!?」

 ティアは物凄く嬉しいと表情を輝かせて店主にどんな色ができるのか聞いていた。

 ティアがどんな注文をしたのかわからないがかなり上機嫌になっていた。

「完成まで二週間かかる。代金は商品を受け取った時でいい」

「二週間か。天幕の儀までは間に合わないか。わかった。頼む」

「楽しみですね」

 ティアはレンのことを見つめて嬉しそうにしていた。

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