第28話 魔獣の王3
巨大な魔獣と戦い始めて二時間ほどが経った。
レンはブルーローズを抜き全力で戦っているが巨大な魔獣に傷一つつけることができていない。
防御力も優れているだけでなく、特殊な攻撃を持っていた。銀色の翼は全て剣でできており攻撃してきた者に対しカウンターとして射出し攻撃してくる。さらに剣は地面に刺さると銀色の魔獣となり襲ってくる。
全てが普通の魔獣と桁違いだった。
「本体が俺に対して殺意がないのが救いか」
レンは一度丸薬を飲みこむと大きく息を吐く。
「よし」
蒼い火柱を出現させ進行を阻害する。
炎自体も効かないが嫌なのか少しだけ足を止める。
レンは木の枝を飛び移り高さを稼ぎ魔獣の頭部にある角めがけブルーローズを振り下ろす。
鋭い音が周囲に響き、手に衝撃が走る。
「くっ」
着地をすると同時に飛んでくる剣を灰に変え魔獣になることを防ぐ。
だが休む暇なく踏み込んだ脚にめがけて斬る。
当たる感覚はあるが効果はなく歩みを止められない。
「どうする。このままだと体力を奪われるだけだ」
基地からいくつか道具を持ってきたがどれも効果が出る様には思えない。
「一応、巣を破壊する用の爆弾はあるが、どう使うか」
有効打になるとは思えないが地形を変えるほどの威力を持つ道具なため重要なところで使いたい。
「候補としては穴を開ける用だな」
巨大な魔獣の足元に穴を開けてバランスを崩し、足を止めさせる。それは中々いい作戦なのではないかと思うレンだったが夜闇で適している場所を探すのができない。
「ティアがいれば――っ!!」
背筋が凍るような感覚に襲われ巨大な魔獣のことを見る。
銀色の翼を広げ、光を集めるようにしていた。
角の先に魔力に似た物が集まり射出するつもりだ。
「冗談じゃない」
魔力が集まり切ったらブルーローズの出力を超えるだろう。
だが射出する物を防ぐことができなければ、逃げているだろう隊員、その奥にある幾つもの街、そして首都は消滅する。
レンは自分の身など気にすることなく跳躍し、集まりきる前の光にブルーローズの刀身をぶつけた。
「ぐぅう。オオオオオオオオッ!!」
圧倒的な力に弾き飛ばされそうになる。だが堪えて炎の出力を上げた。
世界が割れそうな音が響き、真っ白な光が周囲を包み込んだ。
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