第25話 大規模作戦5

 大規模作戦が終わり、祝勝会が前線基地で行われる。

「みんなよく頑張った。我々は人類初の偉業を成し遂げたのだ」

「「「「おおっ!!」」」」

 <バベル>の幹部の言葉に盛り上がる戦闘員たち。

「そして偉業の功労者。それは皆も知っているだろうが。呼ぼうではないか。シア、クラム」

 シアとその相棒の顔を隠した小柄な少年が台の上に上がる。

 それによりさらに会場は盛り上がる。

その様子をレンは離れたところから眺めていた。

「アッシュ、行かないでいいのか? 偉いさんとかきているから料理も豪華で酒もあるぞ」

「別に興味ない。ウッドマンにいなければ問題になるって言われたからいるだけだ」

「そういうことか。お前は飯も酒も味がわからないんだよな」

 ノアは瓶から酒を飲み気持ちよさそうに息を吐く。

「それでティアは? お前の隣じゃないのか」

「ロサリアといるんじゃないか? ほら、あそこ」

 レンは<バベル>の隊員の集まりの中心付近にいるティアとロサリアを指さす。

「いたな。うちの隊員だけじゃなくて他の隊の隊員もいるな。確か魔獣が地面に潜るレポート出したのがティアだったか。今回それが役立ったんだよな。で、集まって話をしていると」

 ティアが話の中心になっているようで何やら楽しく談笑している。

「いいのか? 男もいるぞ」

「別に。ティアが<バベル>に溶け込めるなら問題ない」

「そうか。おっとあの男の隊員、ティアに手を差しだしているぞ。何か誘っているんじゃないか? もしかしたら俺のパートナーになってくださいとか言われているかもな」

「それで良いと返事をしたのならティアの目には俺よりそいつの方が良く見えたわけで仕方がないことだ」

「へぇ。別のあてでもいるのか?」

「いや。俺にとってティアよりも良いパートナーはこの先絶対に現れない。もし解消したのなら俺は一人でいるだろう」

「ひゅー。言うねぇ。ご馳走さん」

 口笛を吹いて感心したように言ったノアにレンは何がご馳走さんなのかと首を傾げる。

 楽しそうに笑うノアは次第に真剣な表情になる。

「まあ。軽い冗談はここまでだ。アッシュ、なにを考えている?」

「なんで今まで人類は巣を破壊できなかったのか」

「なるほどな。簡単すぎたからな。今までにも神創兵器はあった上に練度なら俺たちよりも上の軍隊なんて多くあった。なのに、誰一人として巣を破壊できなかったのかってことか」

「ああ。おかしい点が多すぎて考えていた」

「気持ちはわかるが、わからないことを気にしても仕方がないだろ? 今は英気を養おうぜ」

「……そうか。わかった。俺は寝る」

「まじか。まだ始まったばかりだぞ」

「おおまじ。遅くまで飲むなよ」

「はいよ。酔ってお前の寝ているベッドに入り込んだら大変だからな」

 上機嫌なノアと別れてレンは宿舎に戻った。

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