第22話 大規模作戦2
予定の時間の少し前に会議室の入るとなるべく奥の方へと脚を進める。
ティアは初めての会議ということで緊張して表情が硬くなっていた。レンは少しだけ気を利かして声をかける。
「そんなに緊張する必要ない。俺たちは話す必要はないし受け取った書類に目を通して忘れないようにするだけでいいんだから。怖いのなら俺が何とかしてやるから」
「はいっ」
ティアはレンの上着の左袖を軽く摘まんで席に座る。
それからしばらくして人が集まり定時に会議が始まる。
ウッドマン、ノア、ロサリア、技術課の者、<バベル>の幹部、そして鳩の隊員が集まった。
鳩の隊員が会議の進行をして作戦の説明を始める。
作戦は簡単に言えば前線基地から巣に向かって一般隊員は三方向から巣に近づき魔獣を巣から引き離す。その間にレンが巣に近づき巣を破壊する。できれば巣の一部を回収するというもの。
レンはいつものことだと納得しているが、ティアはレンの負担が多いのではないのかと思い不満そうな表情をしていた。
レンは小さくティアに声をかける。
「俺の負担が多いって思うけど囮役も大変だからな」
「ですが……」
納得できてはいないがそうなら仕方がないというようにティアは座り直す。
技術課からはリンカーのアップデートがされて感知範囲を変えることができるようになったという話だった。
二人が話すことはなく会議は終わる。
「明後日から出発ですか」
「慌ただしいけど仕方がない。ギリギリまで休んだんだから」
「そうですね」
二人で話していると鳩の隊員の一人が寄ってくる。
「あら。その顔。<ブルーローズ>じゃない」
ハーフ坊主、ハーフロングという変わった髪形の化粧をした男性。
何ですかこの男性とティアは驚くがレンのことを<ブルーローズ>だと呼んだので警戒する。
「シア、あんたか。一体何の用だ」
「別に顔が見えたから話しかけただけよ」
「そう。この作戦。お前が立てただろ?」
「よくわかったわね」
「あんたがいて、鳩の連中が作戦を立てたってなるとあんたしかその立場はいないだろって」
「それもそうね。で、そっちの警戒して毛を逆立てている子猫みたいな子は?」
シアがちらりと見るとさらに警戒したようにレンの後ろに隠れる。
「俺のパートナーだ。お前の部下が標的にしたから知っているだろ?」
「一応よ。あの子たちならちゃんと教育しておいたわ」
「あんたの起動者は?」
「会議に興味がないって来ていないわ」
淡々と話をしている二人を見て少しだけ警戒を解いてレンの袖を引くティア。
「あのこの方は?」
「鳩の副隊長のシア。起動者のパートナー」
「それだけですか?」
「他人だからな。こいつが何をするか大体わかっているから淡々と話しているだけ」
「はあ。そうなんですか。てっきり仲がいいかと思いました」
「仲がいいとか冗談でも辞めてくれ」
「そうね。それだけは気が合うわ。これ以上勘違いされても嫌だから私は行くわ。それじゃあしっかりね。<ブルーローズ>」
シアが部屋から出ていくとティアはレンに声をかける。
「あの。大丈夫なのですか?」
「作戦か?」
「はい。レンくんのことを殺そうとしている気がして」
「まあ、運が良ければ程度には殺そうとするけど、仕事だけは真面目にやる奴だから問題はない」
「レンくんがそう言うのでしたらいいですけど」
そう言うがティアは不安そうにしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます