第14話 フルールにて2

 当てられた部屋で椅子に座る。

「娘が変な男を連れてきたとなれば敵視しても当然だ。だが誤解が解けてよかった」

 ティアの実家のほとんどがレンに対して敵視していたのはティアに言い寄る悪い虫だと思われていたから。それでティアの父親は父親としてレンを殺そうとしてきたのだ。

 誤解が解ければただの客なのだから歓迎されるだけ。

 夕食会でもてなしとして豪勢な料理が出された。

「食べ過ぎたな。少し気持ちが悪い」

 味もわからないがアレン達は知らないし、話すのも面倒だったから何も言わずに食べたのが仇となった。

 レンが休んでいると部屋のドアがノックされる。

「はい?」

『ティアです』

「開いているから入って来てくれ」

 ドアが開きティアが入ってくる。

「大丈夫ですか?」

「少しだけ食べ過ぎた。少々気分が悪い」

「そうですよね」

 普段丸薬くらいしか食べていないのに豪勢な食事を食べたら胃もたれをする。

「お父様。レンくんが来たの凄く嬉しくて」

「そうか。初任給で買った贈り物は渡せたか?」

「はい。凄く喜んでくれました」

「よかったな」

「はい、レンくんのおかげです」

 凄く嬉しそうにしているティアを安心したように見るレン。

「あのどうしましたか?」

「いや。ティアが嬉しいならよかったなと思って」

「は、はあ」

 ティアはどういうことなのだろうかと首を傾げて考えていた。

「それよりもレンくんのパートナーだった人に会うにも名前を教えてくれませんか? 行政課に行くにしても名前がわからないと面会できませんから」

「そうか。名前はガブリエル。貴族ではないから苗字はない」

「わかりました。会えるように連絡入れておきますね」

「ああ。すまないな」

 レンが返事をするとティアがじっとレンのことを見つめる。

「どうした?」

「緊張とかしていないのかなと思いまして」

「そういうことか。それに関してはそこまで緊張していない。俺が緊張したところであいつと話す内容は変わりがない」

「そうですか。レンくんは強いですね。私なんか当事者じゃないのに緊張して落ち着かないんですよ」

 少しだけ引き攣った笑顔を見せるティアにレンは少しだけ笑う。

「ティアは真面目だ。そこがティアのいいところだが。ティア、何も背負うことはない。俺はどんな結果があったとしても感謝はするが恨むことはない」

「レンくん」

「だから笑っていてくれ。明日、俺は笑えないかもしれないから」

「……っはい!!」

 ティアはレンに向かって笑顔を作った。

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