第4話 初仕事3

 ティアがパートナーとなって二日目。

 レンは日々の訓練を終えてノアたちのいる部屋に戻ってくると何やら部屋の中が騒がしい。

 興味がないのだがレンは部屋の前で立っている気がないため隊員たちを押しのけ自分がいつも使用している場所に向かう。

 するとちらりと人混みの隙間から中心が見えた。

 青空のような青色の制服を着たティアが皆からちやほやされていた。

 制服をもらったのかと思うのと同時に任務もないから問題ないかと思いながら椅子に座る。

「ブルーローズさん」

 ティアが集団の中心からレンの近くまで歩いてくる。

「お揃いの制服ですね」

「そうだな」

 レンとは形が違うが色は同じでお揃いと言っていいだろう。

 青い制服を着ているのはレンとティアだけでノアたちは緑色の制服を着ている。

「これで二人目か」

「はい? 何か言いましたか?」

「いや、なんでもない。俺なんか構っていないであいつらに見せつけに行ったらどうだ?」

 レンがそう言うとティアは首を横に振る。

「いえ。私はブルーローズさんのパートナーですから傍に居ます。あの。朝一緒に来ようと思ったのですが私が起きた時にはすでに留守で、もしかして早朝からすることがあるのですか?」

「いや。ただの訓練だ。あんたには必要ないことで付き合わなくていい」

「そうですか」

 訓練だとティアのやることは何もないため仕方がないとしょんぼりしていた。

 ティアがやるべきことはリンカーによって得た情報を起動者であるレンに伝えることと魔力を送ることの二つだ。

「あんた。暇なら少し勉強するぞ。基礎的なことだが確認しておきたい」

「はい。どんどんやりましょう」

 ティアは椅子を持ってくると向かい合うように座る。

「まずは俺たちが倒している魔獣だがあれはなんだか知っているか?」

「魔法を使った時に発生する淀みが魔獣の巣で獣のような形になった物です。食事を取らず繁殖しない。生物ではないけど知識があり人を襲います」

「百点の回答だ。では魔獣の種類は?」

「えっと、中型の犬と同じくらいの大きさの小型、獅子くらいの中型、それ以上の大きさを大型と言って魔獣は三種類になります」

「違いは?」

「大きさの他に力と知恵が違います。小さい方よりも大きい方が、力が強く知恵が働きます。ただ大型は発生率が低く、中型の十分の一とされています」

「そうだ。よく勉強しているな。では次は起動者が持っている対魔獣兵器についてだ。簡単に説明してくれ」

「はい。魔獣が魔法では倒せないということから作られたのが対魔獣兵器のセイヴァーです。セイヴァーは魔力のない起動者と呼ばれるセイヴァーに選ばれた人だけが使えて使用に魔力がいるからパートナーがいります。形状は様々で剣や斧、槍などとあります」

「じゃあ。神創兵器は?」

「セイヴァーの原型となった神様が作った七つの武器です。ブルーローズさんが持つブルーローズだけが現在居場所が分かり、他の六つは十数年前から行方不明となっています」

「そうだ。知識は十分あるようだな」

 ティアに必要なのは経験で経験を積んでいけば優秀なパートナーとなる。

 初めての相棒がレンであるのが残念だと思うレン。

「あっ。ウッドマンさん」

「やあ。みんな」

 ウッドマンが部屋の中に入ってきて隊の皆に声をかけてレンとティアの前まで来た。

「ウッドマンさん。こんにちは」

「こんにちは。ティアくん」

 ティアが挨拶しているがレンは興味がないと水を飲む。

「レンもいつも通りか」

「で、何の用だ?」

「二人に仕事だよ」

「間隔が早いな」

「そうだね。いつもよりも間隔が短いけどその分近場で簡単な仕事だよ」

「なるほど。そういうことか」

「どういうことですか?」

 よくわからないというような反応を見せるティアにレンは説明をする。

「あんたが初めてだから簡単な仕事で経験を積んでもらうってこと。俺はそれに付き合っていつもよりも短い間隔で仕事をすることとなる」

「なるほど。あっ。ブルーローズさん。申し訳ありません」

「俺はいい」

 気にしないというような反応を見せるとウッドマンに手を出す。

「仕事の内容を見せろ」

「これだよ」

 ウッドマンは紙を渡してくるので受け取り眺める。

「見せてください」

「ああ」

 ティアも顔を出し一緒に見る。

「南西に二十キロのところにある森林地帯。目標は中型魔獣三体」

 比較的な弱い魔獣だ。これなら目的地に到着したらすぐに終わらすことができる。

 レンはもうわかったとティアに紙を渡す。

「準備して向かう」

「あの、私は?」

「パートナーは前線に来る奴もいるが基本はここでサポートしている」

「じゃあ、私はここでサポートします」

 初めてだろうがロサリアも部屋にいるから問題ないだろう。

 レンはティアをその場に置いて目的地に向かった。

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