第33話 魔法学校襲撃事件②
「状況はどんな感じ?」
「アセンダリ先生! 遅い!」とロクサリーヌは不満をぶつける。
「ごめんごめん」というアセンダリ先生に
「キュアリ―の出番です。魅了されてヤバいですよ!」と俺は叫んだ。「分かったわ」と短く答えたアセンダリ先生は
「キュアリ―!」
まずは倒れているシュワルツマー先生の魅了を治し他のみんなにかけまくる。魔力尽きるまでキュアリ―をかけて、みんなを魅了から解除してくれた。魔力尽きてもマジックポーションを飲んでもらって頑張ってもらうけどな!
最悪からちょっと立ち直った状況だ。考えを変えて、精霊魔法の実験現場にしようかと俺は思った。今まで精霊魔法は前へ飛んでいったことがなかった。これって実戦で試せるいい機会なんじゃないか?
「魅了も治せるようになった。マジックポーションに頼るのも限度がありますよね。魔法で攻撃するなら遠隔からが有利です」と俺は話す。
「それはそうだけど、ガザセル君は魔法を使えたの? 精霊魔法を使ってるのを、見たことなかったけど……」
ランネル先生が心配するのも分かる。アセンダリ先生は顔色が悪くなってもマジックポーションを無理して飲んでみんなを治している。アセンダリ先生1人だけしか魅了を治せる人がいないってどういうことだ!
実際に俺も精霊魔法を使って戦うのなんて初めてだ。
「やってみないとそこは分からないです。上級魔法までしか使えないですしね」
「上級魔法まで使えるの!? ……ガザセル君って物理戦闘だけじゃないの?」
びっくりしてるようにみえるランネル先生に
「ランネル先生が俺に精霊魔法を使う方法を、教えてくれたようなものですよ?」
と俺は答えた。首を
「先生には感謝してますよ。本当に」
俺はランネル先生に笑いかけ、無詠唱で中級魔法のファイアランスを魔力多めに調整してデュラハンに連続で撃ちこんだ。
空を大量の炎の槍が、デュラハンに向かって乱れ飛ぶ。そしてデュラハンに当たったファイアランスが爆炎あげ火柱が立ちあがる。
「今の大量の炎はなんなの? どうやってあれだけの炎を発生させたの? 精霊魔法っていったって、いくらなんでもあんなの規格外よ! そもそも詠唱はどうしたの!?」
「先生が教えてくれた無詠唱です」
と俺はニヤリと笑って答えてみせる。
「そんなの私は教えてないわよ!?」
とあたふたしているランネル先生をみて
「『魔力の流れを再現できれば無詠唱さえも会得できると古代魔導書は伝えています』ってランネル先生自身が言ってたじゃないですか」
と俺は答えた。
「えっ。あれ、私は言ったけど。えっ!? あれって本当なの?」
「俺は先生に言われた通り、やってみただけですよ? っと冗談言ってられる状況でもないみたいですよ!」
まだ倒しきれないデュラハンの姿を火柱の中にみた。アセンダリ先生の必死のキュアリ―でこちらの近くの冒険者や先生たちは魅了から解除されていた。俺は、中級魔法のファイアランスと上級魔法ヘルファイアを無詠唱で発動させた。
無詠唱でうまくファイアランスを強化できたから、俺はヘルファイアも強化アレンジする。ヘルファイアは炎の分厚い壁になってデュラハンに突き進む。動きの遅いデュラハンでは回避できない。だがこれだけ精霊魔法を撃ってもデュラハンは倒れない。
「聖魔法ホーリーライト!」
と便乗してロクサリーヌも唱えるけど、デュラハンを倒すまでは至らない。
口をあんぐりあけているランネル先生を見ながらも、やっぱり魔法の効きが悪いなと思った俺は、直接殴って終わらせないとダメかと思った。今までしゃべってたことで俺自身の支援魔法の強化は済んでいる。そしてアセンダリ先生に
「もしデュラハンの目が赤く光ったら念のため俺にキュアリーをかけてください」
「分かったわ。思いっきり殴り飛ばしてきなさい!」とアセンダリ先生のお許しもでた。
俺はデュラハンに向かって走る。デュラハンは体勢を低めに構えた。向こうも一発で仕留めてくる気満々か。こういう戦いも悪くないと思った。
「お前はこの拳で破壊しないと終わらないな!」
と叫び、殴りつける。俺の拳を片手で防ぎ
「宣託の聖女はどこだ?」
とデュラハンは話してきた。
「話せるのか? 聖女になんの用があるんだ?」
「聖女が我らが王カオスリッチ様の魂の格をあげるのに丁度いいと考えた。だから宣託を授かる聖女を亡き者にする。それが我らの目的だ」
とデュラハンは剣を叩きつけてくる。俺はその攻撃を右へかわす。
「お前らの狙いは聖女なのか?」
「そうだ」
どうやらロクサリーヌの命を相手はお望みだ。
「聖女の命をお前らに差し出すわけにはいかないな」
「我らで探して殺すからお前は心配しなくていいさ」
と嗤ってくるデュラハンには余裕が見えた。
「お前らの望み通りにはさせないさ」
と俺はデュラハンに向かって駆け出した。
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