第14話 採取クエストでの戦い②
俺が宣戦布告したボーンヘッドはBランクのアンデッドだ。知能がありしゃべれる。そして剣技で攻めてくると思っていた。ところがボーンヘッドは奇妙な踊りを踊りだした。何をしてるんだろうと思っていたら、その踊りが終わったあと雄たけびをあげた。
それに呼応して現れるスケルトンたち。「嘘だろ……」と呟くメンバーに絶望の色が見える。そして合計5体のスケルトンが現れた。
「クソッ。あいつ仲間を呼ぶのか!」
盾役は剣を地面について嘆き、みんなの心が折れかける。
「とりあえず2体までスケルトンを減らそう。ボーンヘッドを倒さないと話にならないが、スケルトン5体はこっちが一気に崩れる危険性が高そうだからな」
ヒーラーも交代しているがロクサリーヌの顔色が悪い。ここまでの連戦で魔力がきついようで魔力の回復に努めている。
「ロクサリーヌ。大丈夫か?」
「……! 少ししたらいけます! アンデッドには負けません!」
戦う気満々だったがそれに反してロクサリーヌの顔色は悪い。俺は強化をすませる。もう1人のヒーラーに回復は任せよう。
「次だ。行くぞ!」
「「「「おう(はい)!」」」」
高みの見物のボーンヘッドは放っておいて、スケルトンの処理を急ぐ。盾役の消耗が激しい。スケルトンに殴りかかる。攻撃される前に攻撃してスケルトンを撃破する。アタッカーも1体、倒してくれた。
3体目を倒した時点で俺はボーンヘッドに標的を変える。いきなり殴りかかった俺の攻撃をボーンヘッドは止めてみせる。これはただ仲間を呼ぶだけの敵じゃなさそうだ。
「お前、他の仲間はいいのか? スケルトンにやられちまうぜ?」
とボーンヘッドは嗤いながら俺に聞いてくる。
「ボスを倒さないと、いくらでもスケルトンを呼ぶだろう? 元を断つのは当たり前だ」
「クハハッ 俺様に勝てる気でいるのか?」とボーンヘッドは嗤っている。
「もちろんさ。早く倒さないとメンバーがヤバいしな」と答え、左手ですかさず殴ると綺麗に盾で防がれた。手数はこちらが多い。ボーンヘッドは一撃が鋭い。
「我が
もう一度、俺はスピードアップの強化魔法を唱えた。
「俺にとってはここからが本番だ!」
と言って俺は左右の拳で殴りつけ、ボーンヘッドの態勢を崩したところを左足で頭を攻撃、そしてボーンヘッドの横っ腹を右足で蹴りつける!
くの字に傾いたボーンヘッドだが
「俺様たちもパワーアップだ!」
叫んだボーンヘッドとスケルトンたちに赤黒い光が目に灯る。コイツらの最後の力か。剣を振り下ろしてきたのを右腕のガントレットで受け流す。パワーがほんとに上がってるな。
「こいつら強くなってる!」
と盾役が慌てている。
「落ちつけ! 丁寧に攻撃を防ぐことだけに集中するんだ。アタッカーが倒してくれる!」
と俺は指示を飛ばす。
その声と同時に左腕のガントレットで剣を弾き飛ばし、ボーンヘッドの態勢を崩す。その隙を逃すようなヘマはしない。ヒーラー役も交代しロクサリーヌが回復している。顔色もさっきよりはいいようだ。
「パワーが上がっても俺に力負けしてるようじゃ勝てないぜ?」
とボーンヘッドのコメカミを右手で貫いた。地面にたたきつけた反動でホーンヘッドが動かなくなったところを、右足で胴体を踏みつぶしトドメをさす。
振り返るとスケルトンもメンバーが倒したところだった。これで殲滅完了だ。
「これで終わり!」と俺はサムズアップしてみせる。
「よかった!」とロクサリーヌもほっとした様子だ。
「「「生きて帰れる!?」」」
と騒いでいると
「「お~~い、大丈夫か?」」
と先生や冒険者たちが来てくれた。
「先生! 遅い!」とアタッカーが言う。
「無事でよかった。なにあったら私の首が飛ぶとこだ」と先生は安心した様子だ。
「ボーンヘッド1体がスケルトンをガンガン呼び寄せて大変だったんですよ! ここは安全じゃなかったんですか!?」と盾役が叫ぶ。
「安全なはずだったんだが、そこは調査するから。それまではなんとも言えないな」
と先生は盾役に回復魔法をかけた。
「歩けるか?」と冒険者が確認しみんなが頷いた後、俺たちは出口に向かって歩きだした。
帰り道は特になにごともなく出口にたどり着いた。負傷者は回復魔法で全快し、死亡者は一人もでなかった。クラスメイトは戦闘の勝利で興奮し、はしゃいでいた。先生と冒険者はその様子を見て安堵していたようだ。
とりあえず俺たちのクエストはこれにて全て完了となった。満月草の採取クエストはクリアとみなされた。むしろ討伐クエストをしたようなものだから学校側の評価はかなり高かったみたいだ。
そしてノーストラム墓地は調査された。なぜ魔物がいたかについては原因不明とされた。今までは魔物がいない区域だったけど、アンデッド系の魔物が発生していることが確認されたという。
今後は生徒たちだけで決して近づかないようにと周知された。なぜアンデッドが湧いたかの原因は不明、とのことだ。ノーストラム墓地からでてこないようなので現状維持し、アンデッドの活動を定期的に監視するという話になったみたいだ。
◇
毎日毎日お勉強だ。特に何もない日々が続いていく。学園生活はこんなもんだったよなぁと俺も前世を思い出す。両親は元気にしてるだろうか? と考えていた。
事故で死んだ俺だけど、引きこもっている間ずっと養ってくれていたのは両親だ。なんにも恩返しできなかったなぁ、と俺はまどろんでいた。働きだして喜んでくれていた両親を思いだし、俺はちょっとでも親孝行ができたといえるのだろうか? と考えていた。そしたら隣で
「私、回復魔法が苦手というのもあるんですが魔力量も少ないんですよね。ノーストラム墓地での戦いではもうちょっと魔力があればって何度も思いました」
とロクサリーヌはため息をついていた。
「魔力の増やし方なら俺たぶん分かるよ?」
と話した。ロクサリーヌは目を輝かせ
「ぜひ教えてください!」と頭をさげてお願いしてきたのだった。
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