変化
「良かったね。」
心のなかで押し殺していたもう一つの心が出ていた。
体育館裏は茂みからよく見える
「何してんの?」
後ろからは私の「ただの」友達。
「いや、何でも?」
私はそっぽを向いて愛のこもっていないような口調でそう言った。
「普段と違うじゃん。」
抵抗したいけどなぜだろう。普段なら何でもなく見える彼の顔が見えない。見えないというより見たいのに体が火照って‥‥‥なんだろう、この感情。
「いつもならこっちを向いて話してくれてるじゃん。」
ダメだ。顔が、いつもなら見えるのに、、、どうして?。。。
自分の部屋でずっと考え続けていた。夜の間も一生懸命考えた。
これが恋心というものなのだろか。あの二人もこういう感情になったことがあるんだろうか。質問をしてみたくてもきっと質問すると怒られるだろう。
彼女のことだ。かなり気になっていることが一つある。それは彼女の心理状態のことだ。「恋をしていない」というより「したくない」と言ったほうがいいだろうか。そもそも彼女自身が恋から逃げていっているような、俯瞰から見るとそんな感じに見えてしまう。
そんな事を言っている俺は彼女のことをどう思っているかと言うと、コスチュームとかメイクを変えれば好きになれると思う。ただ、そんな直接的なことを言っても彼女は恋愛から逃げてるから変える気はないだろう。
電話で誰かと相談して言ってしまってもいいかと思ったが、生憎、電話に出れそうな人はいない。なぜなら、渡張には直接的には言えないし他の二人に送っても既読がついていないからだ。
とりあえず、チャットで返信してくれそうな人に送って返信を待つか。
「渡張ってさ、メイクとか服装変えたら可愛くなりそうじゃね?」
思いの外すぐに返信が来た。
「あんた誤爆してない?」
文字を見るに完全に渡張だろう。
ん?
昨日、あんな事があったから恥ずかしくてあいつと顔を合わせることもできないだろう。
「おはよう。」
声は真後ろから聞こえた。
「おはよう。というかなんでこんな場所にいるの?」
俺は体の方向を変え、後ろを向く。
そこには、イメチェンをした渡張が照れながら立っていた。
「え、おま、それ、、、」
すぐに顔をそらしてしまったが、もしかして昨日の言葉、、、
あの光景を見て私は決心をした。好きと思ったなら後悔はしたくない、と。
きっとあの二人が私に力をくれただろう。
新しい服を買いにいって、メイク道具も買いに行って。時間は程よく在った。
「可愛い、かな?」
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