告白

どうしようか。どんな言葉で告白をしようか。とか考えているうちに鼓動はみるみる速くなっていく。

なぜ体育館の裏に居るのか。普通に見れば分かるだろう。そう。告白だ。

僕の親友の宮型に、「どんな環境で告白したらいいかな。」と問いかけてみた。相手から返ってきた言葉は「やっぱり体育館裏じゃね?」という綿ぐらい軽すぎるような言葉だった。しかし、何故か僕はその言葉を信じ高校の体育館裏へとやってきてしまった。

下駄箱に恋文ラブレターを入れていたがちゃんと読んでくれているだろうか。そして、読んでいたとしてここに来てくれるだろうか。鼓動は更に速くなっていき段々とこの星には僕とあの人しかいないと考え込んでしまっている。

「いや。」

ここで怯んでどうする。緊張してどうする。自分には今までの努力と決意があるんだ。胸を張って告白すると決めたんだ。

あの眼鏡をかけて教室の隅でただただ読書をしていたあの世界の自分とは違うんだ。

そうこうしている間に足音が聞こえてきた。優しそうな足音だ。




私の下駄箱に、いつの間にかラブレターが入っていた。名前が書かれておらず、私は登校が比較的遅めなので私より先に登校する人はいっぱいいる。そんな中から探すことは銀河系の中から地球を探すほど極めて困難だ。

ただ、文章を見ていると、「体育館裏に来てほしい。」ということが強調されているような文章だ。

とりあえず、今日の放課後。体育館裏に行こうと思う。


そして、あっという間に授業が終わり放課後になった。渡張が私の机に近づいてこう話す。

「今日一緒に帰らない?」

これはいつものことであり帰るところがかなり近かったため、(中学時代は校区ギリギリで住んでいたため出会わなかった)かなり長く話すことが在り、それで更に親密度が高くなった。

「今日はちょっと‥‥‥」

彼女は私のリアクションを見て普段は無理やり誘うところをなぜか今日は行わなかった。

「さようなら。」

教室の中でそれがこだまする。私は急いで体育館裏に行った。いや、正確には早歩きで、だが。そもそも誰かもわからない人と会うことはかなり怖いものだ。もしかしたら誘拐されるかもしれない。もしかしたら暴行されるかもしれない。それでも私にはなんとかできる自信があった。




その人はラブレターを読んでくれた。そして来てくれた。

今の僕の前には淡い笑顔をした、憧れの人。思いを伝えたい人。そんな人が現れた。

僕はずっと考えていた告白の言葉をすっ飛ばして、直球に。ただ直球に。

「好きです。付き合ってください。」

そんな言葉がいつの間にか口から漏れていた。

「喜んで。」

桜吹雪が僕らを包み込むように吹いた。

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