三鷲堺-nd

どうしてこんなことになってしまったんだろうか。時が遡って中学生に縮んでしまったことはすぐに理解できた。できては行けないものだとは思うが。とにかく勉強とスポーツを頑張った。兎にも角にもジョギングを続け、勉強をし、家庭科も頑張った。家族は海外へ出張しているので僕は一人だった。途中でジョギングしている人とすれ違うことがよく在った。

コミュニケーションを高めるためにも友達を作った。「宮形みやがたほし」という人だった。もしかしたら一方的な友達だったかもしれないが、そんなことよりそんな彼との会話をできるだけ毎日することにした。

同じ中学校だったのにあんまり話したこと無いのはなぜだったのだろか。クラスが違うかっただろう。

時には家に呼ぶこともあった。彼には他にも女子の友達がいるらしいが男子の友達などと説明することで勘違いを防いでるらしい。

彼は同じ宿題を一緒にしたりして徐々に仲良くなっていった。たまには「泊まる?」と問いかけてみたり、それにたまに彼が「うん。」とふざけて答えた時には笑って、そして泊めてあげたりもした。

「女友達とはいい感じなの?」

「いや、全然。友達だよ友達。」

「そもそもその女友達のことは好きなの?」

「友達としては好きだけど、お前と似てるよ。」

「何が?」

「いっぱい努力してるところ。」

「俺は好きな人のために努力してるんだよ。」

「何次元?」

きっとふざけて問いかけているのだろう。でも、僕はちゃんと真実で答えた。

「三。」

「え?マジで?」

「マジマジ。」

僕はその後もふざけ合いながら、笑い合いながら楽しく勉強した。彼も一緒にジョギングをしてくれてとても楽しかった。

そうこう言っているうちに、三月、卒業シーズンになった。告白の言葉をいつ考えればいいのかを考えるようになれた。

やはり中学校はかなり速く過ぎてしまうと思われたが、友だちができてからとても緩やかに進んでいた。

高校に入った。桜はとても色鮮やかだった。それは一周目のときよりも遥かに綺麗だった。彼女も、それ以外に目に映る景色もそのすべてが遥かに綺麗に見えた。

いつもどおりの日常が過ぎていく。いつもどおり彼と話す。そのすべてが楽しいと思える。

一周目の高校よりも楽しくて、色鮮やかで友達もできて幸せだと感じられるような人生をこれから送れるような気がして、目の前がパッと明るくなったような気がした。

でも、まだ終わったわけじゃない。ここからが本番なんだ。ここからが集大成なんだ。

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