時。

私は校庭を見ながら今日も一日一日、暇つぶししながら高校生活を過ごすことはとても退屈な時間を過ごす。それはどれだけの苦痛かは未だに自分でもわからない。ただただ無限と変わらない時間が過ぎていくこと。そういう感覚が自分の肌を風のように柔らかく触りながら通っていく。

「また、あの桜が見れたらな‥‥‥」

また彼女がやってきた。

「そういえば名前聞いてなかったね。」

「あれ?そうだったっけ。渡張とばり見成みなり。自己紹介の時に入ってたような気がするけど、忘れちゃってるか。」

「聞いたことある、かも‥‥‥」

「ひどいな〜。」

桜か。確かに、また見たいな。

「桜の話だけどさ。また、見たいね‥‥‥」

正面から急に強風が吹いた。一刻いっとき、戸惑ってしまったが深く考えるほどに頭が痛くなる。

周りが白く見えてくる。6/20。5/12。4/28。3/‥‥。目の前にカレンダーが現れそれがのりで一枚一枚接着されていく。周りには蝉の鳴き声、桜吹雪、豪雪が近づいてきては過ぎ去っていく。

まるで時が巻き戻されていくように瞳に映る。ただただその時の流れに逆らっていく風景になんとも言えない思いが出てきてしまった。

再び目を開けるとあの中学校の10月に戻っていた。




決断は速ければ速いほどいいということに気づいたのはその年の七月のことだった。その時にはもう遅いと自分でも気づき始め、もう自分の行動の一つひとつが馬鹿馬鹿しいように思えてき、体中の力が一気に抜ける。膝から崩れ落ち、自分でもなぜだか笑い出してしまった。たまたま路地裏だったから良かったがもし校内や国道沿いだとしたら晒し上げられていただろう。瞳を開けると白い箱のようなところに一人ただ体育座りをしていた。

上に上がるような感覚が自分の体に伝わってきている。壁が開くと窓から見えるたくさんの風景がかわるがわる映り続けている。徐々に季節が巻き戻られていくような風景だ。時間が経つにつれて体がどんどんと縮んでいっている。

身長も横幅も爪も髪の毛ですら。何が起こっているのかまったくわからない状態がかなりの時間続いた。痛みを感じることは無かった。

秋の風景が映っている状態で箱は止まってしまった。自分はこの時、決心をしこの白い箱から出るという決断をした。

風景に飛び込みをした瞬間、ちょうど半年前。中学生のころに戻っていた。チャイムの音がなっている。さまざまな雑音がなっていると様々な人が僕の後ろをスルーしていき、僕はその流れに少し遅れて飛び込んでいった。

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