三鷲堺
桜の季節は過ぎてしまった。窓から見える景色にはただただ時の流れが映っているだけだった。窓辺の彼女の机には彼女と仲が良さそうな女子が一人、話をしていた。
僕はといえば教室の陰で椅子に座りながらため息を付いている一般市民だ。それ以下ではないということはわからないが、それ以上ではないことは確かだ。
そもそも彼女と僕の、名前も関係性も何もかもを話していなかった。僕の名前は「
出会いは高校に来てからのクラス割り。そもそもこの高校では一年の頃に決まったものがそのまま三年(留年しない限り)使われるということは事前に仕入れた情報で知っていた。
そもそもこの高校に入った理由はあまり無く、先生に進められたからというのが一番大きな理由である。そもそもここに入る前に出会いは無かった。というよりも作らなかった。
告ることもなければ告られることもなくただただ
そもそも時間とは現実には存在しない概念なのだからただの印象として残ってしまってもそれは「ただの普通な人生」なのだ。
なのに、なぜだろうか。高校に来てから、何というのだろう。時を、あの時よりも、遅く感じてしまうのは。原因は分からずに三ヶ月もの時が過ぎてしまった。考える時間は遅く感じるからか大いに在った。在りすぎた。
時々こちらを見てくる彼女の表情はこちらを見るときいつも笑顔だった。その友達と話をするときも時々視線をこちらに向けては笑顔を送ってくる。脈アリなのだろうか。でも、僕にとっては高嶺の花。青い、いや、虹色の薔薇なのだから。きっと彼女と釣りあう人などは芸能界ぐらいにしかいないのだろう。
鼓動が速くなる。段々と、、、自分では信じられないほどに速くなっていく。
きっと今、告白してもきっと振られるだけなのだろう。
中学の間に長所を伸ばしておけば、彼女と話せるほどのコミュ力を持っていたら、そんな努力をしていたら良かったのだろうか。
質量を持つものは光の速さを越えない。ただ、「望み」は光をも越える、つまり「望み」は質量を持たないことになる。光の速さを越えれば時を戻れる。戻れるのに。
自分は中学時代の自分を悔やみながら彼女から送られてくるウインクに赤面しながら照れてしまうのだった。
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