第28話 ダブルデート?@学食
萌と悠が付き合い始めたその日の夜――
「萌~、ただいまぁ~!どうだった?!」
「う、うん…ありがとう。付き合うことになったよ」
「よかったね!正直言って、今日はまだ告白しないのかなと思ったよ。なにせ2人ともヘタレだからなぁ。デートの約束した?」
「ううん。でも大学とかバイトでどうせ会うし」
「ダメダメ!デートはまた違うシチュエーションで燃えるでしょ!」
「そ、そう?明日、大学で聞いてみるよ」
「ダブルデートしようって佐藤君に聞いてみて」
「ダブルデート?!リコ、彼氏いたっけ?!いつから付き合ってるの?どこの誰?」
「昨日から鈴木
「え、えー?!聞いてなかったよ!じゃあ、うちのバイト6人中、4人がカップル?!」
「そういうことになるね!」
そして翌日――
200人入る講義室の座席は後ろに向かって高くなっている。一番後ろの端っこの席が悠の『指定席』だ。その日も悠は1人でそこに座っていた。
「園田君、おはよっ!」
「あ、さ、佐藤さん…中野さん、おはよう」
「ねぇ、前の方に座ろうよ。その方がパワポ、よく見えるしさ」
萌は悠の腕を掴んで講義室の前のほうへ進み、前から2番目の列に座った。
「萌、私、お邪魔虫だから別のとこに座るよ」
「そんな必要ないよ。一緒に座ろうよ」
結局、悠、萌、リコの順で隣同士に座って3人は講義を受けた。講義が終わると昼休みだ。いつもなら萌はリコと2人で学食に行くが、今日は3人。
「学食行くよね。ちょっと待って」
リコがLINEで彼氏の孝明にメッセージを送ってから3人は立ち上がって学食へ向かった。3人が学食の入口に近づくと、入口前に立っている背の高い男子学生が3人に手を振った。孝明は同じ大学の同じキャンパスの学生だが、3人とは違って法学部に所属している。
「今日、何食べようか」
「今日は魚の気分だから、私はA定食にする」
「俺はとんかつのB定食」
4人はトレイを取ってカウンターへ向かって思い思いの料理を取ってレジへ向かう。レジを出た後、4人はキョロキョロと空いている席を探すが、学食は昼休みだから学生でごった返して何人も一緒に座れる席を見つけるのは難しい。それでもなんとか4人掛けのテーブルが空くのを確保できた。
「リコと鈴木君が付き合うようになったなんて全然気が付かなかったよ!水臭いなぁ」
「うん、まだどうなるかわからなかったからね」
「そんなこと言って散々うちらをけしかけてたじゃない!」
「晴れて彼氏彼女になれたんだからいいでしょ!」
2組のカップルは幸せ気分でおしゃべりしながら昼食をとった。だからガヤガヤうるさい学食でも話を何とか盗み聞きをしようとする者がすぐ隣のテーブルにいたことに4人は気付いていなかった。
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