第5話 和解

思い立ったら吉日、園田君に謝ろうと思ったけど、新田に絡まれたら面倒だ。だから新田のいない時に園田君に話しかけようとしたけど、そんな隙がない。時間が経ちすぎると謝罪のきっかけを失うので、もういいやと思って帰る前に話しかけた。


「園田君、この間、こっちから誘ったのに怒って帰っちゃってごめん」

「ああ、佐藤さん。びっくりしたけど、大丈夫。俺も大人げなかったよ。ごめん。で、何の用だったの?」


なんて答えようと思ってちょっと口ごもっちゃったけど、なんとかいい言い訳思いついた。でもちょうどその時、新田が近づいてきて園田君の腕に貧乳を押し付けた。


「悠~!一緒に帰ろっ!」


わざと甲高い声であざとい!せっかく言い訳思いついたのにあっけにとられて忘れてしまった。そしたら園田君が助け舟を出した。


「…真理には関係ない話だから、ちょっと席はずしてもらえる?」


新田はわかったって言ってちょっと離れた所に行ったけど、すごく不満そうだ。


「新田さん、怒ってたみたいだけど、大丈夫?」

「ああ、気にしないで。それよりムーンバックスで話したかったことってなんだったの?」

「あ、あれ?なんでもないよ。もう済んだ。それよりこれから友達になってくれる?」

「え、友達?!まあ、いいけど…」

「それじゃ、リコが待ってるから行くね。じゃあね!」

「へば!」

「え?!へば?!」


園田君が『へば』って言っても、不思議と新田にからかわれた時のような不快感はなかった。

校門で待ってたリコと一緒に駅に行くと、園田君が同じプラットフォームにいた。


「あ、園田君!また会ったね。実家に住んでるんだよね?同じ方向だった?」

「いや、今日、バイトなんだ」

「へぇ、どこでバイトしてるの?」


園田君がバイトしてるのは、偶然にも私達の家の最寄り駅前にある居酒屋だった。それを知った園田君は人手不足だからと言って私達をバイトに勧誘した。私達がバイトしてたカフェがこの間、潰れちゃってバイト先探してたから、面接に行ってみることにした。


でも、この時にプラットフォームで私達が園田君と話していたのをどうやら新田に見られたみたい。次の日から新田が絡んできて大変だった。昼休みにリコと待ち合わせして学食に行こうとしたら、新田が声をかけてきた。


「佐藤さん!学食一緒に行かない?」

「え?!いいけど…」

「佐藤さんのお友達もよかったら一緒にどうですか?私の友達も一緒だし、皆で食べたら楽しいでしょ?」


今まで新田と一緒にランチしたことなんてなかったので、戸惑って隣のリコを見たら、新田は猫なで声でリコも誘った。鳥肌~!!断るのもなんかなと思ったので、リコと2人で行ったけど、向こうは親衛隊5人も引き連れていた!


「ねえ、佐藤さん、この間、ムーンバックスで悠と何話してたの?」

「なんでそんなこと気になるの?」

「な、なんでって…幼馴染だし…」

「幼馴染だと何でも知ってなきゃいけないの?私、リコのことならほとんど知ってるけど、根掘り葉掘り他の人に聞きまわったりはしないなぁ」

「なっ!」


園田君が人付き合いが面倒でモブの振りをしているってのを新田に言っちゃいけないような気がして会話の内容は言わなかった。だってそれって多分、新田のせいだろうから。


新田も素直じゃないなぁ。ひねくれすぎてる。美人で幼馴染って最強スキルなのに。素直になって好きだって言えば、落ちないオトコはいないだろうに。

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