第2話 いよいよ嘘告?!
あれから園田君と2人で話せる機会を探したけど、なんだかいつも新田の目があって1ヶ月経っても無理だった。でも最近、園田君とよく目が合う。ヤバイ、話しかけようと思って観察してるのがバレた?!
目が合うことに気付いてから、なんだか園田君が気になるようになってしまった。違う、違う!2人で話せる機会を探してるから気になる気がしているだけ!
それから案外すぐチャンスは訪れた。その日はなぜか新田は大学を休んでいた。風邪でもひいたのかもしれない。これは園田君に話しかけるチャンス!
「ねえ、園田君!話があるんだけど。今日、帰る前に時間ある?」
「うん?なんで?」
「えっと…その時言うんでいい?」
「うん、まぁ、いいよ」
「じゃあ、4コマの後、時計塔の前でね!」
その後、3コマ目が始まる前、今日決行するってリコに報告した。
「だから今日は1人で帰ってね」
「いいけど…ほんとに嘘告やるの?」
「ちょっ……!声が大きいよ……違う、嘘告じゃない…」
他の人に聞かれたらヤバいので、リコの耳元で囁いた。
「萌らしくないよ…こんなの、園田君を傷つけるだけだよ。アイツのこと文句言えなくなるよ」
「でも…もう待ち合わせしちゃったし」
「とりあえず、告白しないで友達になってって言ったら?」
「う、うん…そうしよっかな…でもわざわざ呼び出してそんなこと言うの不自然じゃない?」
「うん、不自然だけど、自分から呼び出しておいてやっぱり何でもないってもっとおかしいでしょ?」
「そうだね……」
リコに最後の説得をされて迷いが出てきた。
水曜日は4コマ目が最後の授業だ。授業が終わって時計塔前に急いだ。
「待った?」
「いや、今来たところ」
「じゃあ、駅前のムーンバックスに行こっか」
元々は誰にも聞かれないように数駅離れたカフェに行こうかと思っていた。でもリコに絆されて嘘告は止める気になっていたから、大学の最寄り駅の前にあるコーヒーショップでいいかと油断していた。
友達になってっていうためだけにわざわざ電車に乗ってカフェに行くのはおかしい。っていうか、そもそも友達になってと言いたいだけで呼び出すのが不自然だ。どうやって自然に話を持っていこうかって頭がいっぱいになっていて、まさか新田の親衛隊がムーンバックスで私達を見たなんて思いもしなかった。
ムーンバックスで席に着いた途端、園田君は口を開いた。
「で、何の用?俺、忙しいんだけど」
「え?!時間あるんじゃなかったの?!」
「流石に大学でそう言うと角が立つって思ったからさ、そうは言ったけど、俺と佐藤さん、只のゼミ仲間じゃん。どうしてわざわざムーンバックスまで来て一緒にコーヒー飲まなきゃいけないかと思って」
「ええっ?!園田君、大学にいる時と性格違くない?!」
「うーん、人付き合い面倒だから」
「じゃあ、どうして今は素を出してるの?」
「あ、佐藤さんが特別だからとか、そんなわけじゃないから、誤解しないでね」
「な、な、なっ…!!自信過剰っ!私は仮にも去年のミス甲北よっ!」
「佐藤さんのほうが自信過剰でしょ?ミス甲北だったら、誰でもひれ伏すって思ってるの?真理と同じだね」
「なっ!新田さんと一緒にしないでよ!もういいっ!へばっ!」
私は園田君の反応も見ずにガタンと椅子から立ち上がってムーンバックスから出て行った。
あまりに興奮しすぎて『じゃあね』の代わりに『へば』って言ったのに自分では気づかなかった。多分、園田君が新田みたいに笑わなかったからだと思う。
電車に乗って家の最寄り駅で降りても家に着いても怒りが収まらなかった。
「おかえり、萌!ねえ、どうだった?」
話を聞きたくてわくわくしたリコの顔を見た途端に愚痴がマシンガンみたいに止まらなくなった。
「うーん、確かに園田君もひどいけど、萌も大概だよ!」
「やっぱそう?」
リコに咎められて怒りよりも罪悪感が増してきた。やっぱり今度、謝ろう。
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いやー、ムーンバックスって(笑)お星さまとお月さまを変えただけです。でもスルーしてくださいませ。
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