素直になればよかった
田鶴
本編
第1話 頭に来る女
今日の大学の授業が終わって同居しているリコ-ほんとの名前は中野
「『へばな』って言わないの?プププ…気取らなくてもいいのに」
「バイバイって言おうと、へばなって言おうとどっちだっていいでしょ!」
この意地悪女が貧乳を唯一コンプレックスに思ってるのを知ってるから、わざと巨乳の胸をバイーンと張って見上げながら反論した。
この女は、青森から上京してきた私の言葉を『津軽標準語』とか言っていつもからかう。この女は
更に悪いことに、この女は邪悪な心に一級品の外見を持ってる。うるうるした大きな目にぷっくりとした唇、桜色の頬、さらさらとした長い黒髪、背が高くてすらっとした肢体、去年のミス甲北。
私の印象とは対照的だ。私は生まれつき茶色のくせ毛で背が低い。顔は私もミス甲北になったくらいだから、美人タイプではないけどかわいいはずだし、Eカップの胸には自信がある。でも身長のせいでアンバランスでちょっと太って見えてしまう。この女がいなければ、去年、私が1人でミス甲北になれたのに!
男女平等だかなんだかで、今年から伝統のミスコンはミス甲北・ミスター甲北コンテストになってしまった。それに優勝者はもう出場できない。いくら2人同率1位でミス甲北と言っても優勝者は優勝者。
新田も私もミスコン優勝者だからよくもてる。でも私は今は誰とも付き合う気がなくて告られても断ってる。彼女も誰とも付き合ってはいないみたいけど、告白してくる男子をよく侍らして、男の子達と話す時は、私をからかう時と全然違って妙に甲高い声で話している。
でも新田は時々、同じゼミの陰キャ園田
新田が園田君と話している時の目には熱があった。話し方もぶりっ子くさくて鼻につく。彼女は彼の気を引きたくてわざと他の男と仲良くしているのを見せてつけようとしているんだってわかった。でもそれが効果あるようには思えない。さっさと告白しりゃいいのにね…と思ったところで、あの女をギャフンと言わせるいい考えが浮かんだ!
家に帰ってさっそくリコに打ち明けた。リコは、転勤族の父親について中学の時に青森に引っ越してきて仲良くなった。リコは高校進学を機に青森から引っ越して離れ離れになったけど、友情は3年間続いて大学でまた一緒になってキャンパスの近くで同居している。
「新田って、むかつくな!今日も『へばな』って言わないのぉ~ってからかってきた!あ“~、かちゃましいぃぃ!」
「放っておきな、萌。あんまり腹立てても損だよ」
「でもな、いい考えがあるんだ!新田の想い人園田と交際してギャフンと言わせてやる!」
「それって嘘告ってことだよね?!そんなひどいこと、やめなよ!園田君、かわいそうだよ!」
「だけど、新田、きまげるじゃん!」
「ねえ、私達、もう大学生だよ。つきあったら、手つなぐとか、キスするだけで済まないよ。園田君が…さ、さ、最後までしたがったら、どうするの?そんなこと、好きな人としかしちゃいけないよ!」
「するわけね!第一、するとこないでしょ!私達、一緒に住んでるし、園田君は実家だよ」
「ラ、ラブホとかあるでしょ」
「ラ、ラ、ラブホ?!あの園田君がそんな所に私を連れてくはずね!」
「お、男は狼って知ってるでしょ?な、何が起きても、し、知らないよ!」
リコはまじめで大人しそうだから、交際経験がないと言われたら皆信じるだろうけど、私も実は交際経験なしの処女。だからそんなのやめなってリコに言われたけど、もう頭にきていた私はリコの言うことを聞かなかった。それが後悔することになるとは思わずに…
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すみません、私は生粋の津軽人ではございません。今時の大学生がどこまで津軽弁使ってるか知らないし(それに今時の大学生は『ギャフンと言わせる』なんて言わないですよね?)、津軽弁の記憶がかなり薄れてしまっていてネットで調べているので、エセ津軽弁になってますが、ご勘弁下さい!だからボロが出そうなので、萌の1人称語りの地の文は標準語でいきます!
訂正、アドバイス等、ありましたら、是非教えて下さるとうれしいです。
へば(な):じゃあね!
かちゃましい:いらいらする
きまげる:腹が立つ
主にこのサイトを参考にしました:
https://kuroishi.or.jp/tsugaruben/tugaru_frame.htm
http://tgrb.jp/
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