第13話
殺されたのではなくて、自分で殺したのではないか。
時々、どちらかわからなくなる。
自分で殺した。自殺だ。
そうであるならば、理由は何だ。
自分が死んだら。
ん、いや。
自殺だったら別に和平の盃は支障なく進むのではないか。
この和平の盃に不満があったんですねーと言われるだけでちゃっちゃと片付けられて終わるのではないか。
和平の盃は無事に交わされて、平和に暮らせる未来へと進むのではないか。
何だろう。
自殺するとしたら何でだろう。
怖かったのだろうか。
和平の盃を交わす事で生活が一変すると。今迄通りには過ごせないと。
まあ、怖いかな。うん。新しいスタートラインを切るのだ。うん、怖い。平和な日々を過ごせるって知っても怖い。平和って知らないもの。血生臭い世界をずっと生きて来たもの。そりゃあ平和な日々を望んでいたけれど、想像と同じって事でいいのかな。
怒って泣いて笑って、色々な感情を剥き出しにできるの?
急襲されて殺されるかもって常に警戒心を抱かずに日々を過ごせるの?
ずっと険しい顔のまま過ごさなくていいの?
ゆっくり眠れるの?ゆっくりご飯を食べられるの?ゆっくりテレビを見られるの?ゆっくり風呂に入れるの?ゆっくりトイレに入れるの?
行動に制限がかからずにオヤジと一緒に色々な事に挑戦できるの?
何もしない時間を、ゆったりとした時間を過ごせるの?
楽しそうだと思う反面、いいのかなと思ってしまう。
そんなに自由でいいの。
(2023.4.17)
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