第6話

 香奈は迷っていた。まだ陵にも相談はしていない。

 _____そう、高校受験のことで。

 事の発端はこうだ。

 

 その日、彼女は休み時間に陵曰くたちと最近見たテレビとか話題の俳優やアイドルについて喋っていた時のこと、その中の一人がふと進路について話し始めたのだ。


「ねえ香奈は進路どうするの、やっぱり陵と一緒の高校に行くの〜?」

 香奈の友人のひとりがさりげなく聞いてきた。そりゃ、そうだろう、もう入学して1年が経とうとしているのだから。教師もホームルームでちょこちょこ進路についての話もしてくるから、その影響もあってか生徒たちの頭の中にはや進路、将来をどうするのかという意識が芽生えてくる。ほんの数年前は無邪気に中学生に早くなりたいなと思っていたのも束の間、気づいたら中学生になりいつの間にか「進路、将来は?」と大人に問われることが多くなる。



「まだ、どこの高校に行くかとかは決まってないよ!まあでも、一緒の高校か行けるかな?ほら、陵って頭いいからさ。あーでももし、一緒の高校行くなら勉強もっと頑張らなきゃだけどね!」

 香奈はヘラヘラと笑いながら、答えていた。だが、彼女自身心のうちでは少し不安要素でもあった、もし無事合格したとしてもそれから勉強がついていけるのか、という点だった。

 そんな不安をよそに香奈の友人は言った。

「大丈夫だよ、赤点なんて取らないでしょ、香奈は!だから、いけるよ〜陵と一緒の高校にさ」

 香奈の1人の友人がそういうと、他の友人たちも口を揃えて、言う。

「「「そうそう!香奈なら大丈夫」」」

 そんな友人たちの励みに香奈は心なしか沈みかけていた気分が少し軽くなった気がした。

 そして香奈はいつもの無邪気な笑みを浮かべて言った。

「ふふ、そうだね!私なら大丈夫!!」

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