第5話

 翌朝変わらずふたりは学校へと登校した。普段通りの教室、クラスメイト、変わらない日常____。

 ただ一つ、変わらない日常の中に潜んでいるものがあった。それはということ。言い換えれば、将来や進路についてだ。

 もうすぐ2年に進級するということで、高校受験という学生には重くのしかかっていた。

 青春とは過ぎ去っていくのが早いもので高校受験が終わり、高校生になるとまたすぐに大学受験というものが待ち受けている。


 高校受験はどうするのか、そう聞かれると大半は高校に行くという。現代ではそれほど変わったものではないだろう。だが稀に、受験しないという生徒もいるみたいで、進路相談というものが順に回ってきた。


 普段は視聴覚室となっていて、あまり使われてないこの教室だが、進路相談期間は進路相談中と書かれた札が扉の部分に付けられている。

 視聴覚室の中は見えないように、隠されているようだった。


 彼はこんこんこんとノックを3回する。

 扉越しで教師の「どうぞ」という声が聞こえてきた。


「失礼します」

 彼は教室の扉を開けた。

「そこの椅子に掛けて」

 教師は座るように彼に促した。

「はい、失礼します」

 彼もそれに応えて、座る。時計の針が秒針を刻む音だけその教室には響く。そして早速、話は本題に入った。

「高校はどうする?どこにするとか決めているのか?」

 教師は今日何度も聞いてる質問を口にした。

「はい、どこにするかまでは決めてませんけど、高校には行きます。」

「そうか、ならいい。でも、今の君の偏差値ならどこでも基本いけるだろうから、この調子で勉学に励むこと。今先生から言えることはそれだけだ。」

「分かりました。では失礼します。」

 そう言って、彼は席を立った。教室の扉を再び開けようとした時、

 教師は言い忘れたことがあったようで、彼は扉を開けず教師の方へ体を向けた。すると教師は

「ああ、それと受験する高校を考えておくこと!また決めたら報告してくれ」

 教師の一言を聞いて、彼は頷く。

「分かりました、ありがとうございました。では帰りますね。」

 そう言って、彼は背を向けていた扉にもう一度向き直して、扉を開けて視聴覚室から出る。そして、香奈と合流することにした。時計を見ると、まだ香奈との合流時間とは少し早かった。なので、彼は自習室で時間を潰すことにした。

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