本格的な喧嘩上等!
木曜日御前
とある河川敷にて
夕焼けが世界を彩る時間、河川敷に十人の男たちが円になり、対峙する男二人を囲っていた。
「おい、
中心にいる白地に漢字の刺繍されたベタな特攻服、金髪リーゼントが全く似合ってない細い男が叫び返す。
「うるせぇ、
少し伸びた黒髪で、ブレザーな制服を着崩した筋肉質なチャラ男は、呆れたように叫び返した。
「俺の女に手ぇ出して、なんだその言いぐさ!」
「クラスの委員長と買い出しただけだ! お前の彼女だったなんて知るかよ!」
「付きあってない! これからなんだよ!」
「余計に知るか!」
リーゼントこと古山の言葉に、チャラ男こと新山はキレ返す。新山はこの腐れ縁である古山から、いつも意味不明な因縁をつけられていた。今回もだろうと、汚い字の果たし状を捨てたのだが。仲の良い友人と帰宅中、謎のリーゼントたちに新山のみ拉致され、河川敷に連れてこられたのだ。
「だから、俺はお前と
「シャバ僧? てか、そもそも喧嘩しねぇよ!」
「いいか、
「んなわけあるか! 俺は帰る!」
新山は帰ろうとするが、リーゼントに長ラン短ラン特攻服を着た古山の友人が通せんぼした。
「だめだ、決闘場に来たらどっちか倒れるまで殴り合うのが決まりだ!」
「ここは河川敷だ!」
「ハハハッ!これを見よ!」
ツッコむ新山を無視し、古山は特攻服の裏から、さっとバールのようなものを取り出した。
「武器!?」
「
「喧嘩するとしても、素手だろ!?」
「
「自分が都合悪いだけじゃねぇか!
古山がバールで襲い、それを新山が避けていた時。
「お前ら、何してる!」
河川敷の向こうから、自転車に乗った警察がこっちへやってきた。
「来るのがあと十分早い! 本格的な喧嘩のポリ公は決着後にっ!」
「いい加減しろ!」
「とりあえず、そこの交番まで来てもらおうか」
その後、皆こっぴどく怒られたとさ。おわり。
本格的な喧嘩上等! 木曜日御前 @narehatedeath888
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