第4話 放課後
「おかえり、まに太くん」
駆け足で家に帰って来たまに太くんを、ミミズク型ロボットのブッコローが出迎えた。
まに太くんは肩で息を切っていた。
「ブッコロー!この近くで恐竜の化石が出るところを教えて!」
ブッコローは赤鉛筆を削りながら、まに太くんを見上げた。
「そんなのアレクサに訊きなよ~。ボクは忙しいんだ」
ブッコローは競馬エイトに全集中していた。
「ボクはさ、甘噛みハムハム的な癒し系のロボットなんだよ。働いたら負けなんだ」
そんな寝言を意に介さず、まに太くんはブッコローを競馬エイトごとリュックに押し込んだ。
「ぎゃー」
「とにかく一緒に来て!」
まに太くんの恐竜の化石探しの冒険が始まった。
とにかく山か森。地面を掘れるところに行こう。歩いて行くと遠くの方に見知った人影を見つけた。
「あれ、弘子ちゃん?」
まに太くんは、同じようにリュックを背負った弘子ちゃんを見つけた。
「まに太さん!もしかして、まに太さんも?」
ふたりは並んで歩きだした。
「新種の恐竜の化石を見つけたら、名前はなんてつける? わたしは『キキちゃん』!」
キキちゃんは弘子ちゃんの飼っている猫の名前だ。
「ぼくは『マニケラトプス』だな~。自分の名前を入れるんだ」
「ボクは『ミホノブルボン』かな。初めて勝った馬は」
「まに太さんのリュックがしゃべったわ!」
まに太くんはリュックを下ろして、中からブッコローを取り出して弘子ちゃんに見せた。
「これね、ミミズク型のロボットだよ。名前はブッコロー。駅の西口の本屋さんで買ったんだ」
「その本屋さん、知ってるわ。本の売り場と文具の売り場が遠くて、いつも迷っちゃう。好きじゃないわ」
文具好きの弘子ちゃんにはお気に召さない本屋のようだ。
「本屋さんはやっぱり蔦屋がいいわ。この前、代官山の蔦屋書店に行ったのよ。ガラスペンフェアをやっているから、お母さんに連れて行ってもらったの。お小遣いじゃ買えないものばかりだったけど、素敵だったわ~」
弘子ちゃんは、ガラスケースの中に美しく陳列されていた文具の数々を思い出して、うっとりした表情を浮かべた。
ふたりは街から遠く離れた森に到着した。
「おい!お前らも化石を探しに来たのかよ!」
通りの向こうから郁ちゃんが歩いて来た。さらに遠くに出来芝くんの姿も見えた。
「お前らより先に見つけてやる!競争だ!」
4人はうっそうと木が生い茂った森の中へ入っていった。
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