第3話 休み時間
「やあ、みんな。元気?」
大久保信昭くんが休み時間にやってきた。大久保くんとは4年生の時、同じクラスだったけれど、クラス替えで別れてしまった。たまに休み時間に遊びにやってくる。
「仕事でアメリカに行っているパパからさ、お土産を送ってもらったんだ」
大久保くんは小さな箱の蓋を開けた。
「恐竜の骨の化石だよ」
みんないっせいに、小さな箱をのぞき込んだ。
「なんだよ、ただの石じゃねえか」
郁ちゃんは期待を裏切られたような声を出した。箱の中には黒い石のようなものが入っている。確かにこれでは恐竜の化石と言われても驚きはない。
そんなことを言われるだろうかと、大久保君は学研の恐竜図鑑も持ってきていた。
「見てくれ的にはこういうお姿見なのさ」
大久保くんは本を開いて、恐竜のここの骨の化石だよ、と説明した。
「わぁ、恐竜っておおきいのねえ」
弘子ちゃんが感嘆の声をあげた。
「そういえば、恐竜って新種を発見したら、見つけた人が名前をつけていいらしいよ」
出来芝くんが知識を披露した。
「ほんとかよ!」
郁ちゃんが目を輝かせた。
「発見できたら名付け親になれて、名前がずっと残るよな!」
まに太くんは、自分の胸の鼓動が早くなっていくのを感じた。ぼくが発見したら、ぼくの恐竜だ。でも恐竜の化石ってどこに埋まっているんだろう?
まに太くんはまだ携帯を持っていなかった。
(そうだ!ブッコローに訊けばいいや。一緒に連れて行って化石を探そう!)
まに太くんのワクワクする気持ちは止まらなくなっていた。
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