第4話 血と屍
「ぐぇ。が、ああ」
首に触れる。
大丈夫、大丈夫、しっかりついてる。だったらあれは夢だ。
いや今も私は夢の中、そうに違いない!
「夢じゃないですよ、先生、いえ庚游理さん」
「うるさい、夢の中のキャラがペラペラ喋るな!」
「さっきまで仲良くやってたじゃないですか」
「その前に人の首ねじ切っておいて、そう言えるおまえは何様だよ!」
「おまえじゃないですよ、ちゃんと呼んでくれたじゃないですか、わたしの名前」
そう言って
黒髪の少女は優雅に一礼した。
「改めまして、わたしの名は『
そのまま流れるように誓約の言葉を続ける。
「そしてあなたは祓いの八家、『庚』に連なる『庚游理』、我が屋敷の心臓。
共に千の死を超え、千の死を与えましょう」
言葉が終わると同時に空気が変わった。
血。
生徒も教師も、この校舎の中にいない。
生きている人間はいない。
血。
「23年前、都内私立校にて複数名の死亡者が発生」
壁も床も一面に赤く染まり。
「犠牲者数『333名』」
あたりに漂うのは腐臭。屍のにおい。
「驚くべきことに被害者の『死因は不明』自殺他殺事故死いずれによっても説明不能」
血の赤の中で黒い屍が蠢く。
窓の外にも、廊下にも。
動くはずのない足を動かし、何も見ていない目と何も聞こえない耳を持つ屍が動く。
「理不尽な惨劇に唯一当てはまる公式見解として発表されたのは、さらに常識を外れたものでした」
蠢く死人の群れは、意思を感じさせないまま彷徨う。
あの格好、制服なのか? 学校。制服。
こんなに近くにいるのに誰も私たちに気付かないほど死に果てた屍。
ここにいるのはそれだけだ。
「『祟り』、学園の333名は祟り殺された」
そして、宇羅はその名前を言った。
「『
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