第7話 暗号の答え
「友介、分かる?」
「う~ん。たぶん、これは暗号だと思う」
「暗号とな?」
「はい。本当に髭をくわえたり、肉球を外したりするのではなく、この二番目の文章に『にくきゅう』を外したり『ねこのひげ』を加えたりするのだと思います」
僕は、二番目の文章を確かめる。
『やにうえのくざかな、げしきゅ、れいじの、かうがしめすばしょ』
二番目の文章から、『にくきゅう』を外せば、こうなる。
『や うえの ざかな、げし 、れいじの、か がしめすばしょ』
「ちっとも分からんではないか!」
ニャッタールダ十四世が、ムッとする。
「まだ、『ねこのひげ』を加えていませんから」
「でも、どこに? 文のどこに『ねこのひげ』を加えるの?」
「伊織、『にくきゅう』も『ねこのひげ』も同じ五文字でしょ? だから、きっと、『にくきゅう』が入っていた場所に『ねこのひげ』を加えればいいんだよ」
『や うえの ざかな、げし 、れいじの、か がしめすばしょ』
この文に『ねこのひげ』を加える。
『やねうえのこざかな、げしのひ、れいじの、かげがしめすばしょ』
「屋根上の小魚、夏至の日、零時の、影が示す場所」
僕が文章を読めば、「おお!」と、ニャッタールダ十四世が、叫ぶ。
「あるぞ! この城の屋根上に、小魚の飾りが!!」
走り出すニャッタールダ十四世に、僕たちは、ついて行く。
外に出たニャッタールダ十四世の指し示したのは、小魚の形をした風見鶏。
屋根の上でクルクル回っている。
「夏至っていつ?」
「ちょうど今日じゃ!」
「今時間は?」
「おお、十二時に、午後零時になるところじゃ!!」
天気は晴れ。
風見鶏の影は、城の裏のある崖を示している。
よく見れば、影が落ちているところに洞窟がある。
「あれじゃ! あの洞窟にホズミが残した物があるはずじゃ!!」
ニャッタールダ十四世が興奮する。
「国王! 何があるか分かりませんから、ここは騎士たちに任せて、城でお待ちください!」
「し、しかし、知りたい! 知りたいのじゃ!」
「分かった! 私と友介が、グルルとニャフと一緒に調べてくるから! ニャッタールダ十四世は、そこで待っていればいいのよ!」
伊織が、ドンと胸を叩いて、任せて! と、ニャッタールダ十四世に言い切る。
え、僕らも?
同じことを、グルルもニャフも思ったようで、丸い目がもっと丸くなっている。
「そうか! 行ってくれるか! イオリ、ユースケ! ニャフにグルルも! 頼んだぞ!!」
ニャッタールダ十四世と伊織が熱い握手を交わしていた。これは、断れないよね? 僕としては、ちょっと洞窟に入るのは怖いのだけど。
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