第2話 任務と就職

「ふぅ、美味しかったぁ」

紫色のキュウリっぽい野菜と黄色いニンジンっぽい野菜のピクルスとパンとコーンっぽい野菜のスープ、キイチゴのジュースだけのお昼ご飯なのに、とっても美味しかった。

――

「ん?」

急に何か声が響いた。お母さんでもないし、そもそも何だか外から聞こえた声というより、中から鼓膜を鳴らされているような感じだ。

―わたくしは転生・転移最高管理者。多くの世界の転生転移を管理し、貴女のように呼び掛けたりしているわ―

突然の出来事すぎる。口で話そうかと思ったけれど、心の中で伝えてみる。

…は、はい。こんにちは。それで、私に何か用があるのですか…?…

―貴方は転生者ではなく転移者。戻る伝手があるの―

…え⁉そうなんですか⁉おぉぉ、教えてください!…

―これから貴女は就職することになる。その仕事先で新しい風を起こし、少しでも世界を変えることという任務よ。それを達成したら、戻ることが出来るわ。

貴女が任務完了したら、ディーナも元に戻るわ―

…え、でも向こうの世界でもう時間がたってしまっているのでは…

―細かいところはわたくしたちが調整するから安心して―

…わかりました…

―では、左様なら。頑張ってくださいね―

…左様なら…

「…就職って、どこに行くんだろう?」

コンコン。

「はい?」

お母さんがノックに反応する。

「アウレです。ディーナ居ますか?」

「あ、アウレね。分かった、今呼ぶわ。

…ディーナ、アウレよ。」

「あ、分かった。

アウレ!こんにちは」

「ディーナ!あのさ、いい雑貨屋さん見つけたの。一緒に行かない?」

「あ、うん。良いよ!」

お財布をもって、雑貨屋さんへ行った。

「あ、これ可愛い。」

雑貨屋さんと言っても、カップやソーサー、お皿などが売っているお店だ。

オシャレな花瓶を見つけた。

「銅貨3枚…。」一瞬分からなくなる。

「え?…ディーナ、どうしちゃったの…?なんだかおかしいよ?」

一気にアウレの顔が恐怖の表情になる。

「う、うん…。あ、あったあった。

すみません、これ下さい」

店奥から店員…といっても多分1人しかいない…が出てきた。

「はーい。」

会計を済ませると、アウレが話しかけてきた。

「ディーナ…どう考えても普通じゃないよね…?…どうしちゃったの…」

「あ、あのね―

私はさっきからの出来事を話した。転移した後のことを話したときは怖い顔だったけれど、元に戻れると聞いて安心したようだった。

「そうだったの…。」

「怒らなくてよかった…。」

「だって、ディーナもあなたもなりたくてなった訳でもないのに、責めたり嘆いたりするのもおかしいでしょ。私、あなたが戻れるまでサポートしてあげる。」

「良いの…?ありがとう…!」

…良かった…

「あ、君。」

「え?私ですか?」

青髪の青年に突然話しかけられた。

「驚かせてごめん。僕はマルクスィ―。マルクって呼んで。

君、うちの店に来ないかい?」

「は、はい?あ、私はルイディーナ・マイタウルスです。ディーナって呼んでください。あ、店というのは何をやっているんですか?」

「君みたいに転生、転移した人の希望者を集めて、『転生者窓口』っていうのを運営しているんだ。」

「あ、私やりたいです!」

「良いのかい?」

「えぇ!」

「仕事決まってよかったね。」

「うん。」

その後、アウレと別れて家にいったん戻り、許可を取る。あっさりだった。

マルクに店へ連れて行ってもらい、月給などを確認し、契約書にサインする。

基本文字はもうインプットされているため、スラスラかける。

「じゃあ仕事を説明しよう。

ここが窓口。転生者はここに誘導されるんだ。

…君は転移者だから無かったんだね。

この窓口で、知識があっているかの確認などを行うんだ―

説明を全て受けると、仕事着などを貰った。

今日はもうやることはないそうだ。

帰路に就いた。

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異世界転移したら、異世界ならではの仕事に就くことになりなした~転生者窓口で楽しく働く、元女子高校生の話~ 猫原獅乃 @MikoMikko

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