初めての行事
陽介達が生徒会に入り早1ヶ月が経とうとしていた。
事務作業なども任されることが多くなっており今も陽介は太陽と共に一言も喋らず黙々と経費の事務処理を行なっていた。
「陽介はだいぶ学校生活にも慣れてきたか?」
沈黙の中太陽が口を開いた。
「はい!もう生徒会に入ってから一ヶ月になりますからだいぶ慣れました。」
「それはよかった。」
太陽は陽介の言葉に安心したのか優しい笑みを一瞬浮かべすぐに作業に戻った。
第三者からしたら冷たい対応と思うかもしれないが陽介はこの1ヶ月で太陽のことを少しは理解していた。
太陽は見た目からの冷たいような印象とは裏腹に内面はみんなのことをよく見て気を遣っている人だというのは日頃の言動から滲み出ていた。
しかしどう接していいのかわからないのか冷たい感じになってしまっていた。
「でもな大変なのはこれからなんだ。」
作業に戻ったと思ったら太陽は口を開き呟いた。
その太陽の表情は何かトラウマを思い出したかのように陽介は感じた。
「何でですか?」
「体育大会、、」
「え?」
太陽は消え入りそうな声で答えた。
「1ヶ月後くらいに体育大会があるんだ、、」
「いや、それは知ってますけど何でそんなにおびえているんですか?」
「俺は体育大会が嫌いなんだよ、、、」
「先輩運動が苦手なんですか?」
「そんなことはない、普通くらいだ。」
「じゃあ何でですか?」
「生徒会の仕事がやばいからだよ。」
「え?でも体育大会での生徒会の役割は少ないんじゃないんですか?体育委員会が仕事を主にやるんじゃないんですか?中学の頃もそうでしたし。」
「ここではそんなことはないぞ、、、、生徒会が全ての行事の主催と言っても過言じゃないんだ、、、そして体育大会も例外じゃない、、、今に見てろ会長がどんどん仕事を持ってくるぞ、、、」
「やあやあ、2人ともおはよう。」
太陽が去年のことを思い出しているのか顔を青くしているとタイミングを測ったようにいつもよりも上機嫌なのかニコニコした表情で日和が入ってきた。
「おはようございます日和先輩」
「お、おはようなんかやけに上機嫌だが何かあったのか、、、?」
「よくぞ聞いてくれました!実は今年の体育大会で騎馬戦とチアダンスの応援ができるようになりました!」
「そ、それは生徒会が行うのか、、、?」
パチパチと手を叩く日和に太陽が席から立ち上がり恐る恐るという感じで質問した。
「そりゃそうだよ。いやー楽しみだなぁ」
その言葉を聞いて太陽は膝から崩れ落ち動かない姿を見て陽介はこれからどんな地獄が待っているのか怖くなっていた。
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