可愛くなるための変身道具

「小春〜まだ準備に時間かかりそうか〜?」

「兄さん、もうちょっとで準備終わるからもう玄関で待ってて〜」


 翌朝予定通り買い物に行くため小春の準備が終わるのを玄関で靴を履き座りながら待っていた。


 数分後、準備が終わったのか小走りで玄関に向かってくる足音が聞こえてきた。


「兄さんおまたせ」

「いやそんな待ってない、、、、、、ぞ、、」


 後ろきたのを感じ、振り返りながら立ち上がり息を呑んだ。

 そこには純白のワンピースを着た小春がいた。

 黒色のストレートヘアーは枝毛が一本も無く整っており、ワンピースは肩は出ておらず袖からは透けるような乳白色の肌が露出しており中学生とは思えないような美しさを醸し出しておりいつもよりも何倍もきれいな妹に目を奪われて立ち尽くしていた。


「兄さん、私に見惚れてないで行くよ」

「いや見惚れては、、、っておい!、置いてくなよ」

「兄さんはやく〜」


 上機嫌にとびだす小春に置いていかれないように陽介は急いで家の鍵を閉め小春のもとへ向かった。


 ショッピングモールは家からかなり近く、歩いて10分かからず到着し化粧品売り場に向かっていた。

 

「あの〜小春さんや、なんでずっと俺の腕に抱きついておるんですか?」

「兄さん、もしかして私が抱きついているのはいや?」


 腕に抱きつきながら上目遣いで聞いてくる小春に"かわいいな、おい!"と思いながら目を逸らし周りを見た。


(周りの目線がいたい)


 それもそのはずだ、陽介の隣にはファッション雑誌からそのまま出てきたような美少女が腕に抱きついているのだ。

 近くを通る老若男女全員が小春の美しさに釘付けであったのだ。

 当然隣にいる陽介には嫉妬の視線が突き刺さっていた。

 しかし、陽介を見る視線の中には好奇心を含んだものも多くあったのだが、当の本人は全く気づいていなかった。


「むぅ〜」


 小春はなぜか不満げな顔で陽介の腕を先ほどまでも"ぎゅ〜"と強く抱きしめた。

 同時に陽介は殺気に似た視線を一斉に受けるのを感じた。


「小春、どうしたんだ?」

「兄さんへの視線が面白くなーい」


 それはお前が可愛すぎるせいだと思ったが口に出さないようにした。

 

「兄さんついたよ」


 そんなことを考えていたら目的地である店の前についた。

 そこは女性ものの服専門に扱っている店だったが店の中からも小春を見る視線が多く注目の的になっていた。

 さすが美少女と心の中で思っていると店の奥から満面のスマイルを浮かべながら駆け寄ってきた。


「いらっしゃいませお客様、今日はどのような服をお探しでしょうか?」

「かわいい服を買いに来たんですけどおすすめはありますか?」

「かしこまりました、ではこちらの服などはどうでしょうか。」


 店員は慣れた様子でマネキンに着せているベージュ色のポンチョと黒色のワンピースのセットを紹介した。


「これ組み合わせいいわね、これ試着しても大丈夫ですか?」

「もちろんです、あちらに試着室がございますのでご利用ください。」


店員はマネキンに着せている服と同じのを小春に渡しながら答えた。


「じゃあ兄さんこれ試着してみてよ」


 小春は受け取った服を陽介に渡してきたため陽介は服受け取り試着室に向かった。

 試着室に向かう途中さっきの店員や周りの人達の視線を感じたが気にせず試着室に向かった。

 

 店員と周りの人達は試着室に入る陽介と前で立ち止まっている小春を交互に見てこう思っていた。


(お前が着るのかよ!!!!)

 

 

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