第2話 典型嫌う者
神界のシステムは俺への口答えだけを許して後は元通りにしておいた。
文句の一つや二つは聞いてやるよってな。まぁ、聞くだけだが。
俺は奴隷にした女神と神爺さんと共に異世界に転生した。
細かい転生座標は設定していなかったからどこぞの知らない街道のど真ん中だった。
だが俺はここで最悪な光景を目の当たりにする。
「ひっ……誰か、助けて……」
「ひっひ〜コイツ、よく見たらいい顔してんじゃねえか。なんでこんな所に良い物が落ちてんだぁ〜? なぁ、奴隷商に売る前に少しくらい良いだろ?」
「は、あんまり傷物にすんじゃねぇぞ。お前ったら毎回暴れる娘を無理やり犯すもんだから……」
道端に年行かない少女が、如何にも悪そうな男に襲われそうになっている!
許さねえ……許さねえぞ……!
俺の前でそんなベタな展開を見せてんじゃねえーーーッ!!
「ちょっとそこの君たち、良いかな?」
「あ? んだテメェ? こちとら良いところだってのによぉ……」
「その子、嫌がっているだろう。君たちの姿を見ていると虫唾が走り、蕁麻疹が出てくるんだ……!
俺の目が黒い内に立ち去りたまえ。でないとどっちも肉塊に変えてしまいそうだ……」
おおーっといけない! 落ち着け俺!
少女まで殺しては台無しになってしまうだろう。ここはひとまず女なら見境なく救う主人公を演じるのだ。ふぅーっふぅーっ!
「おっと口が滑ってしまった。その子から離れろぉ!」
「だから誰なんだよテメェはぁ! このクソガキが! 大人の力ってのを見せてやる!」
「誰がクソガキだぁッ!?」
『
貴様など俺の目力だけで十分よ!
この技を受けた者は四肢が爆散し、人間ペーストを作り上げる。
「ひ、ひいいいぃ!」
もう一人の男か腰を抜かす。そして少女の方は……。
「うっぷッ!? おええぇえ!」
あまりのグロさに吐いちまったかぁ〜。その気持ち分かるわぁ〜。過去にドラゴンを内側から破壊した時とか懐かしいなぁ〜。
「で?」
「お、お、お助けえぇえー!」
「ん……やっぱりテメェも死ねぇい!!」
んだよそのセリフはよぉ! 古臭くて堪ったもんじゃねぇぜ。
「あ、あ、あ! ひっ……!?」
「オイオイ……助けてやったのにその反応はねぇよなぁ? んっん"!
大丈夫かい? お嬢さん?(イケボ)」
「はわわわ〜……」
あ、あまりの恐怖で失神しやがった……。まぁ良い。こいつは良いかねになりそうだぜぇ〜!
少女を助けて仲間を作るったぁ? んな甘えことするかよ。奴隷ってのはよ、見た目と性能で価値が決まるんだ。コイツは正に上物。
容姿端麗であることには違いないが……。
『
──────────────────
名前:レナ
年齢:12
職業:光の巫女
レベル:15
HP:500
MP:250
攻撃力:50
魔力:1250
防御力:25
俊敏力:15
運:35
スキル:
・ジャッジメントアロー 《LvⅡ》
・破呪の光 《LvⅢ》
・聖神の加護 《LvⅤ》
──────────────────
全体的なステータスから見れば育てれば確かに伸びる光属性の攻撃魔法と、如何にもご都合主義に合わせられた超回復スキルを持っている。
さっき俺が殺した人攫いは割といい目を持っていたと言うことだ。
「やっぱり売ろう。俺に仲間なんて要らねえしな」
と、俺が少女の髪を鷲掴みにして人攫いが乗っていた馬車に積み込もうとした時。
「うおおおおおぉ!! 滅光斬ッ!」
第二の主人公らしい男が俺に斬りかかってきやがった。
まぁ、そんな刃なんぞ俺には効かんがな。二本指でその剣を止めてやる。
「おっと危ないねぇ少年。急になにをするんだ?」
「その子を離せ! ここで何があったか知らないが、俺はお前を許さない!」
俺はふと少年の背後に目を配る。
……ッ!? コイツ……既にハーレムを築き上げようとしてやがる!
次から次へと鬱陶しいなぁ!!
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