第14話: ※麗視点
あたしは、紗奈が羨ましかった。
初めて会った時から、彼女はキラキラと宝石のようにキレイに輝いていて、人々を惹きつける魅力が全身から滲み出ていた。
紗奈はそこにいるだけで、周囲に笑顔と喜びを与えていた。
それに比べて、あたしは何もなかった。
ただ、そこにいるだけは誰からも相手にされない、何の価値もない人間だ。
だから、あたしは紗奈が羨ましかった。
あたしもあんな風にキラキラと輝いて、みんなを笑顔にさせてみたかった。
にもかかわらず――
紗奈は一人が好きだなんて公言していて、他人を寄せ付けない。
そんな紗奈が、あたしにはとても強い人間に思えた。
あたしは、一人では生きていけない人間だった。
紗奈と一緒にいるのも、バンドをしているのも、家出をした時に知らないオトコに付いていったのだって、誰かと繋がっていたいからだ。
あたしは弱い。どうしようもないくらいに。
だから、紗奈が『親友』といってくれた時には嬉しかったのと同時に、恐くもあった。
彼女は一人でもいられるから、こんな弱いあたしを見捨てて一人でどこかへ行ってしまうのではないか――
あたしは、それが死ぬほど恐かった。
ゆえに、あたしはもっと強くあらねばならない。
紗奈の隣に居続けるために、紗奈の親友に相応しい人間で在り続けるために、紗奈と距離を取らねばならなかった。
紗奈に依存せず、一人でも立って歩ける人間になるために――
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