第5話✒マサヨお姉さんと人体骨格s

次の日の朝、ザキは一人で朝食を作っていた。出来上がったのは食パンに目玉焼きとベーコンをはさんだシンプルなもの。

(ぁあ〜良い匂い。食いてぇ。早く人間に戻りたいなぁ)

食べ終えるとザキは満足げな表情を浮かべた。

ザキはあらゆる便利道具を駆使してササッと片付けをすまし、出発の準備を終えると、俺をリュックの中ではなく横ポケットに挿した。

「今日はここでお願いしますね」

ザキはそう行って力強い一歩を踏み出した。


水平線がきれいに見えるなぁんにもない道をひたすら2時間ほど進んだところで、森の入り口についた。そこから、さらに一時間歩きようやく城の入り口に到着した。

重厚なドアをあけ、中に入るといきなり黒い影が二体と数十体の小さな動くガイコツ模型。どうやら、黒子が模型を動かしているらしい。

「わわわわ、ガイコツが動きましたよ」

動揺を隠しきれないザキの声。

(いや、丸見えじゃん。後ろで動かしている人見えてんじゃん)

突然、数十体のガイコツ模型が黒い球をこっちにむかってなげてくる。ザキはリュックを盾に体に当たらないように頑張っている。球は床や壁に打ち付けられて割れると中から墨のような真っ黒な液体が辺りを染めた。

「マサヨおねぇさんとぉ~、人体骨格の~、わくわく、だいじっけーん」

急に現れたハイテンションなお姉さんと連動して数十体のガイコツ模型がいっせいに変な動きを始める。

「ところでこれなにか分かりました?水で作れるミッドナイトブラック水だんごです!!なにで出来てるかわかりますかー?」

こちらを見て語りかけてくるマサヨおねぇさん。

「いやぁ、わかんないですねぇ。なんですか?」

普通に返答するザキ。

黒子が急にテーブルを持ってくる。テーブル上にはペットボトルやら諸々。

「まずはぬるま湯を約250mlペットボトルに入れる」

「はいはい」

ザキは頷きながらメモを取っている。

(いや、メモらなくていいから。これなんの時間よ)

周りを見渡すとマサヨおねぇさんの横に階段があった。

(あれ登ったら上いけるんじゃね?ボスってほら、上にいるイメージじゃん)

「あー、そうなんですかね。はい、じゃあ行きましょうか」

ザキはそのまま階段を登っていく。

「えー、行っちゃうの?えー、行かないでよぉー。えー、さみしい大実験でしたぁぁぁ」

マサヨおねぇさんの声が遠くなってく。ザキは気にする様子なくそのままスタスタとすすんでいく。

階段を登りきるとこれまた重厚なドア。金で縁どった真っ赤なドアに金のドアノブがついている。いかにもやべぇ奴がいそう。

「あけますよぉー」

ザキはなんの躊躇もなくドアをあけた。

「あ、ノックとかした方がよかったですかね」

ドアを全開してからザキが言った。

中には恐竜のような大きな生き物が丸くなって眠っており、その背後には眼鏡をかけた中年男性が椅子に座っていた。

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