第4話✒ヒロコさん
春が過ぎ、夏がきて、秋がきて、冬を越し、また春がきて、を50回くらい繰り返し……原稿用紙にしてだいたい1500枚程度の量に及ぶほどの紆余曲折を経て、ようやく6色が集まった。
「最後の一色が難関なんですよね。はぁ……」
暗闇の中、晩御飯を炊飯していた薪の残り火で地図を見ながらヒロコさんはため息をついた。
「見てください。ここなんですけど」
ヒロコさんが俺に地図をむける。大陸っぽいものが5つと島っぽいものが4つ書かれていて、7箇所✗印がついているだけだった。
(え?地図、簡易過ぎない?よくこれで6色集められたな)
「ははは。50年以上経ってから今さらなにを言ってるんですか」
(50年以上相棒に地図見せなかったの誰よ)
「ははははははははは」
よく分からないがヒロコちゃんのツボに入ったようでしばらく笑い続けていた。
「それで最後の一色なんですけど……どうやらマニランマ三世が持っているらしいんですよ。地図によると、この先をずっと進んだところに森があって、その奥をさらにすすむと城があるようです。そこにマニランマ三世が住んでいるみたいです」
とうとう奴とご対面か。ここに来るまで長かったなぁ、なにもしてないけど。
いや、なにもせずに鞄に入っていたからこそ、まーーーーじで長く感じたわ。
「明日は朝からその手前のデパートに寄って武器を揃えましょう。そこから城へはだいたい……そうですね、5キロくらいですね。計算だと午後2時頃には到着できるんですよ、なので6時までには世界を救いたいです」
(ここにきて世界救うハードル急に低くなってんじゃん)
「そう。ははは」
(じゃあ今日で最後の夜か。ところでヒロコさん、フルネームなんていうの?最後だし教えてよ)
「いまさらですか?岡崎ヒロコですけど」
(岡崎かー。じゃあザキでいいじゃん、今日からザキって呼ぶわ)
「今日からって、もう明日でお別れですけど、はははは」
(おやすみザキー)
「あーはい。おやすみなさい」
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