第3話 新入生代表
「池田京也君」−−
「はい」
ネイビーの詰襟に身を包んだ京也は、壇上への階段に向かって歩き始めた。
4月5日青葉英朋中学校の入学式、京也は急遽、新入生代表の答辞を任されたのである。
当校では、毎年入学式の新入生代表は、入試のトップ合格者、1学期初日の在校生との対面式では2位で合格した生徒が代表とされるのが慣行だった。
ところが、トップ合格者が式前日になってその役割を辞退したのだという。
とはいえ、なぜ京也が代役を務めることとなったのか?
当の本人は知る由もなかった。補欠も補欠、最下位で合格したからだと戯ける余裕などあるはずもない。当日、学校側から案内されるがまま、開始2時間前に登校し、原稿を渡されてリハーサルを繰り返したのである。
リハーサルの間、付き添った妙子は校長の神山の部屋に呼ばれていた。
今回の急な依頼について謝意が表されると共に事情の説明がされた。これは昨日の電話の内容の繰り返しに過ぎなかったが、妙子は予め用意した、入学式の新入生代表という栄誉ある大役である旨の台詞を神山に取られてしまい、バツの悪い思いをする一幕もあった。
ところが、神山からの話の核心はこの後に訪れたのである。
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